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ー天災ー122
和也と裕実は座った後に望の事を探すのだが何故だか望の姿は医者側にあるわけではなく、舞台の方側に席があったのだ。
「へ? 望は何であんな所にいるんだ?」
そう和也は独り言のように呟いたつもりだったのだが隣にいた裕実には聴こえていたようで、
「吉良先生って……凄く偉い方みたいですね」
「そうなのかな? 俺にはそう見えてなかったんだけどな? って、おいっ! 俺の独り言聞いてたのか?」
「当たり前ですよー。 結構、大きい声で言ってましたしね。 そんな声言ってたら、俺の話を聞いてくれ。 って言ってるようなもんじゃないんでしょうか? 梅沢さんって意外に天然さんなんですか?」
そうイタズラっぽく言う裕実は和也に向かい微笑む。
「お前に言われたくねぇよ」
和也は裕実に向かってふざけたように頭を軽く叩くと会議室が薄暗くなっていく。 きっともう始まるのであろう。
それにしたって気になるのは望の存在だ。 何で望は舞台上にいるのであろうか。
幹部だかの司会で会議というのか、とりあえず何かが始まった。
そして紹介される医師。
だがその人物は今まで不在だった院長らしい。
そして名前の方が『吉良』という苗字で和也の中では何かが引っかかったようだ。
「あれ? ここの院長って今まで海外に行ってるっていう噂は聞いていたけど、帰って来たんだな。 でも、『吉良』って名前? まさかな!?」
いきなり裕実の横でボソボソと言い始める和也なのだが、その独り言のような感じで言っている和也に対して裕実は口を挟んでくる。
「望さんのお父様じゃないんでしょうか? それなら、なんか望さんがあそこの舞台にいる理由が分かりますよね?」
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