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ー天災ー154
きっと望にとって今の雄介からのキスというのは皆の前でキスをされているのだから恥ずかしかったのかもしれないのだが、いつも以上に幸せな様子だ。
唇から感触がなくなった直後、望は瞳を開けると雄介の姿はもう既になかった。
もう雄介はあのヘリコプターの中に乗ってしまったのだという事に気付く。
それと同時にヘリコプターのドアは閉められ雄介を乗せたヘリコプターはプロペラ音を轟かせてあの青空の方へと飛び立ってしまうのだ。
その姿を望の場合には手を振る訳でもなく、ただただ小さくなっていくのを見つめていた。
そしてまた雄介と会える日を信じて今はそのヘリコプターを見つめる事しか出来ないであろう。
そして、その雄介を乗せたヘリコプターが完全に去ってしまった後、望以外で屋上に残っている人物が二人いた。 いや三人だ。
今は望の真隣にいる望の父親である裕二と少し離れた所にいる和也と裕実の姿だ。
そして望は急に裕二に声を掛けられる。
「君は、ああいうタイプが好みなのかい?」
そう直球で聞いてくる裕二。
望からしてみたら、その話を家族にはして欲しくなかったのだが雄介があんな事をしてきたのだから、当然、裕二にはバレバレだったという事だろう。
流石の望も裕二にそんな事を聞かれても実の父親にそんな事を言える訳はない。 だが今は誰も望の側には居らずフォローしてくれる人も、この望のピンチを救ってくれる人もいないという状態だ。
息子の事を一番に分かってくれていそうで分かっていないのが望の父親なのかもしれない。
よくよく考えてみると男同士で恋愛をしているのだから、それを聞いてくるのはおかしな事なのではないか?
とりあえず望は裕二の質問を無視して足早に病院内の方に戻ろうとしたのだが裕二に腕を掴まれ行く手を阻まれる。
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