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ー空間ー53

「それって、僕の気持ちを疑っていたって事ですか?」 「違う! 違う! ただ俺は本気で裕実が俺の事を好きなのかな? って心配してただけさ……。 ほら、俺達って、今まで二人きりになる機会あんまりなかっただろ? 俺の方も望の事ばっかり気にしてたしさ」 「そういう事だったんですね。 僕の方もやっと和也さんとデート出来て本当に嬉しいですからね」 「あ、ああ……だな」  やっと心の中まで通じ合えたのか、この二人に今やっと幸せな時間が訪れたのであろう。  それから和也はUターン出来る所で車を折り返し裕実の気持ちも良く分かった所でホテルへと向かう。  ホテルの駐車場へと車を入れると今度は本気で裕実は緊張している表情が見てとれる。  暗闇の中でも周りの街灯だけで十分に裕実の表情は分かる。  和也の方はそんな裕実の事が分かったのかホテルには向かわずに座席を倒し寄り掛かかるのだ。  久しぶりに運転したから少し疲れたというのもあるのだが少し裕実の様子を伺いたかったという理由もあるからなのかもしれない。  確かに体を重ねるという目的で来たのだから初めてここに来るのなら緊張しない訳がない。  だから和也は裕実が落ち着くのを待っていた。  暫くして和也が車から降りない事に気付いたのであろうか。 裕実は、 「和也さん、降りないんですか?」 「ああ、まぁ……今のところは裕実次第かな?」  そう和也は裕実の方を向かずに言う。  それはきっと和也が裕実の方に向いて、これを言ってしまうと余計に意識してしまって余計に黙ってしまうかもしれないと思ったからだ。  だが裕実の方は膝に手を乗せ俯き力を入れてしまっている状態でいる。

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