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ー空間ー184

「乗客の命を守る為に自分を犠牲にしちまうなんてよ。 本当に俺の事ちゃんと考えてくれてんのか!? お前が怪我してる所を見た時、どれだけ俺が心配したのかっていうのが分かってるのかよっ! でも、確かにあの時はお前がやらなきゃ誰がやるっ! っていう状態だったから、俺はお前に操縦を任せるしかなかったんだよ。 雄介なら、何とかしてくれそうだって心の中で思っちまっていたからさ。 だから、雄介が怪我してる中、操縦を止めなかったんだ! 本当にあの時、一番にハラハラしてたのは俺なんだからなっ!」  望はそこまで言い切ると雄介の方へと体を向き直し雄介の頰を両手で包むと心配そうな瞳で雄介の事を見つめる。  望は本当に雄介の事が心配だったのであろう。 今日の望は表情一つ変えずに瞳には涙を溜めて真っ直ぐに雄介の事を見つめていた。 「望……?」  そんな望の姿を見て雄介は、 「スマンかった……せやけど、あの状況で、飛行機の中の乗客を助けられるんは俺だけやって思うてしまったしな。 それで、つい、一人で頑張ってしもうたって訳なんやって……。 それに、俺がやらんかったら、乗客どころか、俺等の未来もなかったのかもしれへんかったんやで……せやから、今日のは……」 「そんな事は分かってる……確かに助かったのはお前のおかげだよ……」  雄介が何か言おうとしていたのだが、望は雄介の言葉に被せるかのようにぼそりと口にする。  雄介は一瞬、望の言葉に不思議そうな顔をしていたが、それ以上は何も言わずに望の体を抱き締めるのだ。  これ以上何かを言ってしまえば望の事だ再び雄介に背中を向けてしまうのは間違いないと思ったからなのかもしれない。 「雄介……?」

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