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ー空間ー215

 望は、その苦しい胸をパジャマの上から強く皺が出来るまで握り締め、兎に角、今は涙をこらえる。  すると考え事に集中していた望は雄介が隣に立っていた事に気付かなかったようだ。  だが次の瞬間、望は人の気配に気付き慌てた様子でパジャマの袖で涙を拭くと笑顔で雄介の事を見上げる。 「お前……ここで何してるん?」  さっきまで雄介だって切なそうな表情、そして苦しそうな声を上げていた筈なのに望の事を見かけるといつものように笑顔で声を掛けてくる雄介。 「あ、ああ……目が覚めたからさ……降りて来たんだ。 ただそれだけだ……」  望は雄介から視線を外すと、いつもに調子で答えるのだ。  望は雄介から視線を外すと切なそうな表情を浮かべていた。 「あ、ああ! そうだよな! 人間寝たら起きなきゃいけないもんやし、起きて来なけりゃそりゃ逆におかしな事やもんな!」  そうふざけながら言う雄介。 でも何故かそこでは雄介は笑っている。 「あ! そうそう! 俺、トイレやったんやわぁ」  と望に言ったのか、それとも独り言を言ったのかは分からないのだが雄介はトイレの方に向かって行こうとしていた。  しかし今日の二人の会話がこうもギクシャクしている感じがあるのは気のせいであろうか?  そして雄介はいきなりトイレへと向けていた足を止め、 「あ! そうそう! ここ寒いやろ? ほなら、先にリビング行っておいてー! リビングの方暖房入れてあるしな」

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