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ー空間ー227

 ここから車で十五分位のところに空港がある。 きっと雄介は空港から近い場所を選んだのであろう。  先程いたお好み焼き屋までは話が盛り上がっていたのだが、今車の中ではさっきのが嘘みたいに静かな二人。  そうだもう刻々と別れての時間が近付いているって事を分かっているからなのかもしれない。  ナビの音と雨が窓に打ち付ける音、そして時折ワイパーが作動している音しか聴こえて来ない。  何かを話してしまえば何か禁句ワードみたいなのを言ってしまいそうで二人共今は何も口に出来ないようだ。  そして二人が静かなまま車はあっという間に空港の駐車場へと来てしまっていた。  駐車場へ来てしまったのなら、もう後は降りるしかない。 二人は車から降りるとターミナルの方へと向かう。  ターミナルの方は今の二人とは違い賑わっているようにも思える。 今の二人にとってはうるさい位だろう。  雄介は先に行ってしまった望へと追い付くと公共の場という事を忘れてしまっていたのか、それとも望とはもうここで一旦お別れだという意味なのか望の事を抱きしめるのだ。  少し服とかが雨に濡れていたのであろうか、雄介が望を抱き締めた時に感じたのは少し冷えた体だ。  そして雄介は望の耳側で望に向かって詫びを入れる。 「スマンな……お前公共の場でこないな事嫌だって分かっておるんやけど……とりあえず、今は俺の我儘だと思うて許してくれへんか?」  そこまで言われると流石の望も怒る気がないのか? それとも、望も望んでいた事だったのであろうか? そこは分からないのだが、そこは大人しく雄介に抱かれているようだ。 「ほなら……」  そう雄介はいつもの明るさで言うと望の体を離す。 「ああ……」

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