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ー雪山ー44

 雄介は伸びをしながら望の顔をチラリと覗くが返事が無い。 「じゃあ、片付け終わったし、俺等は行くな」 「ああ、おう!」  雄介は和也達へと手を振る。 「では、今日は泊めさせていただいてありがとうございますね」 「あ、ああ、また、来てな」  本来なら家主である望が答えるべき所なのだが雄介が全部答えている状態だ。  その後に気付いたかのように望は顔を上げて、 「またな……」  と作り笑顔で二人の事を見送るのだ。  それから庭に置いてあった和也の車のエンジン音が聴こえてくると雄介の方はため息を吐く。  そして望の方に顔を向けて、 「今日のお前は態度があからさまやったぞ……」 「うるせぇー」 「何が気に入らなかったんや? 和也達の事、追い出すかのように帰宅させたやろ? 和也の方はその望の態度に気付いておったようやけど……」  望も食べ終えた食器をキッチンの方へと運び始める。 「当たり前だ。 逆に言えば和也の性格をよーく知ってるからな…。 だから、和也は気付いてくれたんだろ?」 「はぁ!? 和也の性格分かってて逆に追い出した感じやったんか?」 「そうだよ、悪ぃかよ……」 「それって、どういう事なん?」  雄介は怒ったような引く声で望に聞き返す。 「ホント、お前マジで分かってねぇの?」 「分からへんけど……」  望はため息を吐くとよほど今日の望はイライラとしているのか、それとも今雄介に言おうとしている事が照れ臭いのか、そこは分からないのだが頭を掻くと、 「お前と二人きりで居たいからに決まってるだろ」  その望の言葉に雄介は言葉を詰まらせて目を丸くするのだ。  確かに昨日から望の様子が変だという事は気付いていたのだが本当に今日の望は変過ぎる。  悪いが望という人間はこんなに素直じゃなかったはずだ。 確かにいつの頃からか雄介にだけは気持ち素直になってきたと思われたのだが今日の望の態度は明らかにおかしい。 でも雄介には素直になってきたと思われている望なのだが和也達には相変わらずの態度だ。 寧ろ今日の望は和也達に対しては冷た過ぎる程だったのかもしれない。

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