644 / 2160

ー雪山ー71

「ん?」  そう可愛く返事をする望。 そして、 「ただ単に、今日は俺がお前としたいだけだ」 「んー、それは分かったんやけど」  雄介は困った顔をすると、すぐに体を望の方へと向けて望の事を抱き締める雄介。 「ホンマ、今日はどないしたん? 無理せんでも俺はお前の側から離れる気はないで、何がそんなに不安なん? 今日の望ずっとそんな感じやしな」  望は雄介の胸の中から顔を上げると不安そうな表情で雄介の事見上げる。 「ん……?」 「お前は俺の事嫌いか? だから、俺の事を抱けねぇっていうのか?」 「はぁ!?」  雄介の言葉は完全に流されてしまったようだ。 そして望の一方的な質問に雄介の方が意味が分かってないようだ。 「あのー? 望……何を言ってるん?」 「寧ろ、お前の方が日本語通じているのか?」  そう頰を膨らませてまで言う望。 「あ、ああ、まぁ、通じてはいるんやけどな」  そう返す雄介なのだが今日は雄介の方が瞳を宙に浮かせている状態だ。  なんていうのか今の望の言葉をそのまま返してやりたい衝動に駆られているらしいのだが雄介はそのままにしておく事にしたらしい。 「望な……」  雄介は望の体から少し離して望の肩へと両手を付けると望の視線へと合わせる。 「あんなぁ、俺がいつ、お前の事嫌いになったって言った? そんな事、一言も言うてへんやろ? それに、俺がお前の事嫌いになったって事になったら、もう、俺はここに居てへんと思うで……お前の側から俺が居なくなってへんっていう事は、俺はお前の事が好きやっていう証拠やろ? それに、俺はこのままずっとお前の事好きだっていう気持ちは変わらへんし、ずっとずっと側に居りたいっていう気持ちはずっと変わらへんしな。 ってか、この気持ちどないしたらお前に伝える事が出来るん?」 「それは、お前が俺の事抱いてくれたらだろ?」  今までの雄介の訴えは望に届いていなかったのであろうか。 また話が降り出しへと戻ってしまったようにも思える。 「それとな。 今のお前の立場っていうの分かっておるんか? お前は今熱出しておるんやぞ。 俺は熱でうなされているお前を襲う程飢えてはないしな。 逆に好きだからこそ、望に手を出さないっていうのも優しさの一つやろ? こんな時に抱いてもうて逆に調子悪くさせてもうて死んでもうたら元もこうもないやんか」

ともだちにシェアしよう!