683 / 2160
ー雪山ー110
今日の和也はここで無駄話なんかしている場合なんかじゃない。 だから和也は新城に対して愛想笑いをし何とか新城から切り抜けようとしているのだが何だか直ぐには離してくれなさそうな雰囲気だ。
何か新城が話をしていても和也の方は望の事を待たせているというのもあってか時間を気にして焦っているようにも思える。 新城とは春坂病院の患者さんだから邪険な態度も取れる訳もなく。 ここで病院のスタッフの印象は落としたくはないだろう。 だから和也は大人しく新城の話を聞いているしか今はなかった。
そう、この新城という男性は、この前春坂病院を退院したばっかの元患者さんだ。 年は三十歳位だというのは記憶にある。 だが年相応に見えないというのか上手く行けばモデルとか若手俳優とかしていてもおかしくは無い顔立ちの人物でもある。
和也は買物した袋を手にし、さっさとこの場を立ち去りたい気分なのかもしれないのだが、なかなか新城の話が終わろうとしてくれないようだ。
愛想笑いに生返事。
そろそろ愛想笑いに疲れた頃、何故だか和也は新城に背中を押されて店の外へと連れて行かれていた。
「ちょ、え? どうしたんですか?」
流石に今までは生返事だけでたえようとしていたのだが急に外にまで連れて行かれて焦ってしまっている和也。
「あの場所だと他の方に迷惑が掛かるでしょう? だから、話をするのであれば外にしようかと思いましてね」
「まぁ、そうなんだと思いますけど……。 だけど、そろそろ私にも時間がありますので、この辺で失礼させてもらえないでしょうか?」
と和也の方は相変わらずの営業スマイルでその場から何とかして離れようとしていたのだが今度は新城にその腕を掴まれ行く手を阻まれてしまう。
しかも、その力が本当に強い。
力があると思っていた和也さえもピクリとも動かない位だからだ。
しかも何でここまでして和也を行かせないようにしているのであろうか。 そこは謎の所だ。
ともだちにシェアしよう!

