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ー雪山ー164
いつもの望なら、きっと、その雄介の言葉に「そんなわけないじゃねぇか」と答えていたのかもしれないのだが雄介が和也達に言っていた言葉が当たっていたという所だろうか。 望は雄介の言葉に頭を頷かせているのだから。
そんな望の体を雄介はギュッと抱き締める。
今の二人にはあまり言葉なんか必要ないのかもしれない。 こうして、くっついているだけで十分幸せな気分なのだから。
それに雄介は望の事を十分に分かっている。 だから言葉なんかで言うよりかはこうやって抱き締めた方がいいっていう事だ。
だが雄介は望を抱き締めている途中である事を思い出したようだ。
昼食の時に和也達と明日は望もスキーに誘うっていう事を思い出したようなのだが、しかし、この話をどう望に切り出そうかと思っているのかもしれない。
部屋内は段々と暗闇に包まれていく。
しかも東京と比べたら本当に静かな所だ。 隣にいる和也達が会話をしていなければ秒針の音しか聴こえて来ないのかもしれない。
そう都会とは違い車や人工的な音というのは一切ないからなのかもしれないのだが。
この静かな空間に聴こえて来るのは風の音や風が木々を揺らす音。 そして木々から落ちる雪音に風が窓を叩く音だけが聞こえてくる。
東京の音が人工的な音が多いのに比べて、ここは自然的な音が多いという事なのであろう。
そして、その自然的な音のおかげなのか時間もこうゆっくりと感じてしまうのは気のせいなのであろうか。 こう都会では人工的な音によって早く時が動いているように感じるのだが、ここではそうは感じない。 確かに同じ時を刻んでいるのは間違いないのだが、ここではそう感じてしまうという所なんだろう。
いや寧ろ、このままここで時が止まってしまった方がいいのかもしれない。 そしたら望も雄介もずっと一緒にいられるのだから。
そして雄介はフッと望の事を抱き締めていて思った事があったようだ。 今回は仕事の事を忘れてここに来たのだから望にも遊んで欲しいと、だから、ここで寝ていないで明日は一緒に行きたいと思っているのかもしれない。
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