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ー雪山ー173
「何でだろうな? 気づいたら辞めてたって感じだったかな?」
その言葉に反応したのは和也だった。
「あー! 分かった! 望がタバコ辞めた理由がっ! そうだ! 雄介が出来たからだ! そういや、望に恋人が出来てから、急に望がタバコ吸わなくなったような気がするしなっ!」
急に興奮気味な話和也。
「それは……」
望は和也に何か反論しようとしたのだが、和也が言ってる事はあながち嘘でないという事に気付いてしまったのであろう。 そう何も言い返す言葉が出てこなかったのだから。
「やっぱり、そこはそうなんじゃねぇの? それに、雄介が吸わない人間だったしな。 だから、望は辞める事が出来たんじゃねぇのか? そういや、雄介はタバコは吸わねぇの?」
そう今度は雄介の方にその話題を振る和也。
「そりゃな、そこは当たり前やんかぁ。 レスキュー隊になる前は消防士やったんやで、火を消す人間が自ら火を起こしてどないすんねん。 知っておるか? タバコの火の不始末で、火事になるケースっていうのは多いんやからなー! せやから、タバコは絶対に吸わん! まぁ、体にも悪いしな」
「そうかー、雄介は初めっから消防士になりたかったんだな」
「そりゃ、親父がそうやったからな」
「親父が!? それじゃあ、ある意味、雄介は望と同じような感じだったんだな?」
「とりあえずはそんな感じなんかな? それに、今、親父は消防庁の官僚の方しとるしな。 俺の方もやっとレスキュー隊まで来れたんやから、早よ、上の方目指さんと、そこは、やっぱ、親父より上の方を目指さんとって思うしなぁ」
望は雄介の言葉にフッと気付く。
「な、今さぁ、お前、自分の親父が消防庁の官僚だって言ってたよな? まさかとは思うんだけど、ウチの親父とお前ん所の親父と仲がいいんじゃないんだろうな?」
「そりゃないやろ? でも、何で、望はそう思ったん? 何か根拠みたいのはあるんか?」
「いやなぁ、前にさ、お前が震災の後に帰ってた時に言ってたんだよ。 俺の親父が消防庁の方に知り合いが居るってな。 そこで、言ってたのが、『雄介くんを消防庁にいる知り合いに頼んで東京に戻してもいい』って言ってたんだよ。 だから、まさか? って、今の雄介の言葉でそう思ったって訳」
その望の言葉に雄介は食べていた肉を喉に詰まらせたようで、一気にビールで流し込ませている。
「それ、ホンマの話か!?」
「ああ……」
「まさか、俺の親父とお前の親父が知り合いなんかな?」
「ありえない話ではないよな?」
その二人の会話に首を突っ込んで来たのは和也だ。
和也はお酒のせいで少し顔を赤らめて腕を組んで考えている。
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