772 / 2160
ー雪山ー199
そう嫌味っぽく言う望。 そう望は例え雄介が大阪に行ったとしても付いてはいかなかったからだ。 それは患者さんやスタッフの事を考えると、という理由もあったのだが望にはもう一つ動けない理由があったからなのかもしれない。
そう望は春坂病院の跡継ぎでもあるのだから東京から離れられないという事だからだ。
今度は裕実の方も望に対して言い返せないでいる。
そうだ望が言ってる事が正しいのだから言い返せないでいるのであろう。 確かに裕実は望に急に意見を振られた。 だけど逆に言えば突然の質問だったからこそ考えもしないで答えたのだから心の中ではそう思っているという事なのであろう。
「まぁ、確かにそこは望の言う通りだな。 裕実……俺の事は十分好きだっていう事は分かってるんだけどさ、だけど、俺達がしている仕事っていうのはさ、プライベートの事は二の次、三の次位の事だろ? だから、先ずは患者さんの方を考えないとな。 だから、俺はあの時、直ぐに断った……まぁ、そもそも、他の病院で働く気はなかったっていうのもあるんだけどさ。 確かに、給料や待遇はいいとは言ってたんだけど、でも、俺的にはそこじゃねぇんだよ。 金でもない、待遇とかじゃなくて、ホント、そこは自分でも分からないんだけどな」
和也はそこまで言うとひと呼吸置き、
「それにさ、今、この状態で病院で働いているスタッフが二人も消えたらどうなると思う? シフトも狂うだろ? そしたら、残されたスタッフに負担がかかっちまうし、患者さんを診る人間が減ったら、今まで以上に死亡率が増えちまったらどうするんだよー」
「はい……確かにそうですよね。 なら、やっぱり、和也さんは病院に残るべきですよ!」
「当たり前じゃねぇかー! マジで春坂病院から離れる訳がねぇだろ? 色々といい病院なんだからよ」
そう和也は笑顔で言うと裕実の方も笑顔で、
「はい! そうですよねー」
と言うのだが裕実の方は急に首を傾げて、
ともだちにシェアしよう!

