773 / 2160
ー雪山ー200
「……で、どうするんです? 和也さん、引き抜きされるっていう方の話の対策は?」
一瞬、その裕実の言葉で和也は転けそうになっていた。
「だから、これから、その話をしようとしてたんじゃねぇのか?」
たまに裕実という人物は何かがズレてると思う時がある。
「そうでしたねー」
裕実はそう言うと首を傾げて腕を組んで頭を頷かせると、どうやら何かを考え始めたようだ。
その裕実の行動に望と和也はほぼ同時にため息を吐く。
「ほなら、こうしたらええんとちゃう?」
今まで黙って聞いていた雄介だったのだが何か思い付いたのであろうか。 いきなり会話に割って入ってきた。
「何かあるのか?」
「んー、あんましつこいようだったら、警察に相談したらええんとちゃうんかな? って思うたんやけど……。 ほら、和也の知り合いに警察関係の奴がおったやんか、なんて言ったっけ? 白井さん……か?」
「ま、そこはあくまで最終手段って事だろ? とりあえず、俺は絶対にアイツに頼むのだけは嫌だのー!」
そう力強く拒否する和也。 だが、その和也の態度に望が首を傾げて、
「な、お前さぁ、前にもそんな事言ってなかったか? 確か、裕実がウチの病院で働くずっと前にもさ……確か、雄介が命狙われてるって時じゃなかったか?」
「え? あ、あれー? 俺、そんな事言ってたかな? 思い出せねぇや」
そう和也は誤魔化すように言うのだが人というのは嘘を吐く時には癖という物が出てしまうものだ。 そう、だいたいの人間というのは嘘を吐く時、瞳を宙に浮かせたりしまうという癖を持っている人がいる。 和也の場合には見事にそうだという事なんであろう。 もう完全に瞳を宙へと浮かばせて完全に望達からは視線を逸らしてしまっているのだから。
「お前なー、お前の場合には嘘がバレバレだっつーの!」
望はそこまで言うと和也の頭を小突く。
「痛ぇなー! もう、ホント、望っていうのは直ぐに暴力振るうんだからなぁ」
「今のはお前が嘘を吐いたからだろ? 普通な話をしている時に俺が小突いた事あるか?」
「……はい……ありませんでしたね」
そう和也の方はこう棒読みのような言葉で言う。
「……で、なんで、お前はアイツの事をそんなに毛嫌いするんだ?」
「それ、話さなきゃならねぇのか? 例えそれが俺にとって嫌な事でも?」
ともだちにシェアしよう!

