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ー雪山ー209
そう静かに言う和也なのだが今の望にはこう一番効く言葉だろう。
望はその和也の言葉で目を覚ますと、
「ん……ゴメン……」
「望さぁ、眠いんだったら、逆に我慢すんなよ」
「いや、大丈夫だ。 起きてるから気にすんな」
望は一旦、雄介の額から手を離して伸びをする。
望が自分の腕時計を覗くと、
「もう、夜中の二時だったんだな」
「ああ、そろそろ交代してやろうか?」
「ああ……」
「望はどうせ朝まで起きてるつもりなんだろ? なら、水で顔を洗ってみたらどうだ?」
「そうだな」
望は和也にそう言われて桶に入っている水で顔を洗うと暖炉の前へと移動する。 和也の方は今度また水の中に手を入れると雄介の額に手を乗せるのだ。
「……で、さっきの俺の話聞くのか?」
「ああ……まぁ、そうだな。 静かになると余計に寝ちまうだろうしな」
やはり水で顔を洗っただけあるのであろうか。 もう望の方はスッキリとしたような表情をしていた。
「まぁ、とりあえず、俺はそのお嬢様と付き合い始めたって訳だ。 俺もそのお嬢様の恋人だったから、毎朝、車でのお迎えにはなったんだけどさ。 やっぱ、俺的にはそう言うのって合わなかったっていうのかな? そりゃ、お金持ちの生活には憧れるけどさ、でも、今まで俺は普通の家庭で育って来たもんだから、合わないっていうのかな? 最初はやっぱし、お金持ちの気分を味わえているからいいって思ってはいたんだけどさ、でもな……やっぱ、彼女、流石はお嬢様って感じな性格だったんだよな。 なんて言うの? 超が付く程、わがままだったし、デートだって、ずっとボディーガードっていうのか執事っていうのか、そいつらが付いてるから自由にデートが出来なかったっていうのかな? だから、ホントにデートだけって感じだったしな。 そんな監視下の中でホテルとか自分の家なんかにも行ける訳もねぇし、そんなんじゃあ、やっぱ、付き合ってる意味がないって思った俺は、我慢の限界が来て別れたって訳なんだよ。 そうそう! その時から白井に追っかけ回されていたっていうのか、しつこい位に言い寄られていたから、そこで、彼女が出来て、暫く大人しくはしてたんだけどさ。 まぁまぁ、ある意味、俺は白井から逃げる為にもその彼女と付き合っていたっていうのかな? ま、それから、高校を卒業して、専門学校の時代の時には男と付き合ったって訳だ。 まぁ、そいつがさぁ、男のわりにはこう可愛くてさ、しかも、専門学校で男子の方が少ない訳だから、俺とそいつが一緒にいる事が多かったしさ……だからっていうのもあったのかもしれねぇんだけど。 だから、専門学校の時に、俺はその可愛い男子と付き合っていたって訳」
「あ、だから、お前は最初っから男同士に関して知識があったんだな」
「まぁ、そういう事だな。 それに、そいつに告白されて、付き合って、色々と教えてもらってたしなぁ。 まぁ、専門学校を卒業してからは違う病院で働く事になっちまったし、二人共、病院で働くのって初めてだったし、連絡しなくなって、まぁ、自然消滅したって感じなのかな?」
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