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ー雪山ー210

「そっか……それで、次は俺を狙う事にしたんだな」 「ま、そういう事だなぁ。 専門学校の時は確かに告白はアイツからだったけど、望の事は俺からだったし、男に告白するのって結構勇気がいたりしてさ、俺的にはスッゲー悩んでたんだからな」 「そうだったな」  和也は丁度、会話が途切れた所で腕時計に視線を向けると、まもなく時計の針は四時を指そうとしていた。 「そろそろ、裕実と交代するな……望……とりあえず、頑張れよ」 「ああ、ありがとう。 おやすみ」  望が和也にそう言うと和也は裕実の事を起こすのだ。 「裕実……時間だ。 起きろ……」 「んー!」  と最初は気だるそうな声をしていた裕実だったのだが、 「もう時間だったんですか? 分かりました! 和也さん、今度は和也さんがゆっくりして下さいね」  そう言う裕実。 どうやら裕実という人間は寝起きはいいらしい。 というのか裕実は機嫌が悪いという事が少ないのかもしれない。 機嫌が悪い時というのは和也関係の事で嫉妬している時だけなんだろう。  きっと裕実というのは目覚めはいいのであろう。 起きた途端に和也に向けて笑顔を送っているのだから。 それとも今日は寝床が布団ではなく木の上だったからであろうか。 もしかしたら体が痛かったからなのかもしれないのだが。 「望さん! 今度は僕がやりますよ!」 「あ、ああ……ありがとうな」  望は裕実に向かって笑顔を向ける。 「構いませんよ……僕にとっても雄介さんは僕達の仲間ですから、望さんが思うように失いたくない人物ですからね」 「ああ、そうだな」  フッと望が気付くと和也はもう寝息を立てて眠ってしまったようだ。 和也の方も頑張ってくれていたのだが相当疲れていたという証拠なのかもしれない。 「そういや、前にお前と約束してたよな? 和也の事を話すって……」 「ああ、はい! 約束した事、覚えてますよ。 確か、あの時でしたよね? 望さんと雄介さんがハイジャックに合って、望さんが病院に行ってる時の事でしたっけ? はい! なので、話聞かせて下さいよ」 「ああ、いいぜ……」  そうだ。 確かに望と裕実はあのハイジャックがあった時に、その約束をしていた筈だ。 だが望と裕実が二人きりで話すという機会等はなく今までその約束が果たされていなかったのだが、今回こんな機会が出来たおかげで、どうやら約束が果たせそうだ。 「そうだなぁ? 何から話したらいいんだろ? どんな事からお前は聞いてみたい?」 「そうですね? 最初の頃の和也さんの話とか? 確かに和也って今はベテランさんみたいなんですけど、最初の頃はどんな感じだったのかな? って思いましてね。 それを、和也さんに聞いてもいいんですけど、きっと、和也さんが話してくれると、美化してとか、ふざけてとかになりそうなんで、それを、望さんから聞いた方がいいかと思いましてね」 「あー、確かに……」

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