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ー雪山ー214
「お前さぁ、前から思ってたんだけど、本当は出来る奴なんだろ? 和也はそこには気付いてないのかもしれねぇんだけど、俺は最初っから、お前はすげぇ奴だって気付いてたんだからな」
その望の言葉に裕実は肩から力を抜くと、
「流石は望さんですよねぇ。 僕の事、気付いてくれてたみたいで。 そうですよ……本当は僕、ドジなんかじゃないんですよ。 やっぱり、望さんには僕の事見抜かれてましたか?」
「ああ、まぁな。 こっちだって、人を見る仕事をしてんだからな。 そこが出来なくてどうするんだ?」
裕実はその望の言葉にクスリとする。
「やっぱり、僕は望さんの事好きになれば良かったかな?」
と裕実は視線を逸らして、小さな声で言うのだ。
「それは、流石に俺には出来ねぇよ」
裕実が言った言葉も望に聞こえていたのか望の方も呟くように答える。
「望さん!」
裕実は直ぐに望に笑顔を向けると望の顔を覗き込む。
「自分に素直になって下さいね。 確かに雄介さんは心が広い方ですけど、でも、たまには望さんから愛の言葉待ってると思いますから。 本当に好きなら、尚更です。 恋人からの『好き』っていう言葉は魔法の言葉なんですから。 雄介さんもそれを言われたら嬉しいと思いますしね」
望はその裕実の言葉に顔を赤くして、
「ああ、分かってる……でもさ、何でか、雄介の前じゃ……な……。 こう上手く口に出来ねぇっていうのかな? そう言うのって恥ずかしいし、雄介に言うと、こう調子に乗っちまうからさ……だからかな?」
「いいじゃあないですか? 雄介さんの事、そこまで分かっていっらしゃるなら、望さんが少し恥ずかしい思いをするだけで、雄介さんの笑顔が見れて、いつも以上にラブラブになれるんですからね」
「あ、ああ……まぁ、確かにな」
本当に裕実という人物というのは凄いと思う望。 本当にこうも説得力があるというのか、もう、裕実には何も言い訳が出来ないような気にもなってくる。 だから素直な心で話せるのかもしれない。 嘘なんか吐いた時には、それを見抜く力もあるのだから望からしてみたら嘘を吐けない人物の一人なのかもしれない。
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