802 / 2160
ー波乱ー5
「なんだよー、その興味無さそうな返事はさ……まさか、最近、望は仕事で忙しくて仕事では雄介に会っているんだけど、プライベートでは会ってないからって、妬いてんのか?」
望は腕を組みながら和也から視線を離すと、
「ま、まさか……そ、そんな訳ねぇじゃねぇか……」
「本当か!? なら、俺の顔見て、いや、寧ろ目を見て話出来んじゃねぇのか? さっきもさ、雄介がそうだったんだよな。 人間嘘を吐く時って、人にもよるんだろうけど……相手の目をみる事が出来ないんだよな」
その和也の言葉に反撃出来ないのか望は逆に黙ってしまっている。
「ビンゴ……雄介にそんなに会いたければ会ってくればいいんじゃねぇのか? ま、まだ、アイツが入院して数日しか経ってねぇのに、もう、望は雄介不足なのか?」
その和也の言葉が望の燗に触ったのか、それとも諦めたのかは分からないのだが、
「あぁ! そうだ! アイツが入院してから、キスもしてねぇんだぞ! 分かるかぁ!? この俺の気持ちがさ……」
望はそこは席を立って興奮気味に言ったのだが和也の方はいたって冷静で、
「ならさ、俺に八つ当たりなんかしてねぇで、素直になって雄介の所に行けばいいんじゃねぇのか? それで、望が雄介に向かって、『キスしたい』って言えばいいんじゃねぇの?」
「そんな事、お前に言われなくても分かってるんだよ」
望はため息を吐きながら再びソファへと腰を下ろすのだ。
「なら……」
「バーカ……お前は逆に俺の性格知ってんだろうが……。 俺が雄介に向かって簡単にそれを言えたら苦労はしないんだよ」
「本当、望はそういうとこ素直じゃねぇんだな」
「分かってる……」
和也の方はやっと認めたか、という表情をすると、軽く望の方に微笑み、
「なら、俺がなんとかしてやろうか?」
そう和也は望の様子を伺いながら聞いてみる。
「そんな事、お前に頼む事出来る訳がねぇだろうが……」
「んじゃあ、望は素直に雄介に言えるのか? 『キスしたい』って……」
和也は望の言葉を直ぐに切り返す。
一方、望の方は直ぐには切り返しが出来ないようだ。
「あー! もういい! 後は自分で何とかするからよっ!」
「本当に大丈夫なのか?」
そう望の顔を覗き込むようにして見る和也。
「大丈夫だって言ってんだろ。 あんまり、人の顔を覗くんじゃねぇよ。 悪いがもう俺はお前には興味無いからな」
「それは、望はもう雄介にしか興味がないって事か?」
「あ、ああ……そういう事だ」
望は席立つと着替えに向かう。
ともだちにシェアしよう!

