804 / 978

ー波乱ー

望が着替えに行っている間、和也はソファへと体を預け考えているようだ。 今日の望は和也に対して珍しく素直に口を開いたように思える。それほど、今の望は雄介の事が気になっているという事なのであろう。 「すっげぇよな…雄介って…。望の心をそこまで動かせた奴って今までいなかったのによ…。やっぱ、俺には望の恋人には向いてなかったのかもな…。ま、俺は望の事諦めて良かったのかもしれねぇんだけど…。まぁ、そうじゃなきゃ、裕実と付き合う事も出来なかったしな…」 和也はそう1人長い独り言を漏らすと、ソファから体を起こす。その時、丁度望の方も着替え終わったのか、ロッカールームから出てきたようだ。 「じゃあ、俺の方は帰るからな…後、部屋の事は宜しくな…」 「ん?もう、今日は望帰るのか?」 「そりゃ、仕事終わったのだから帰るに決まってるだろ?」 「いやさぁ〜さっきまで雄介の事を言ってたから、てっきり今日は雄介の所に行くのかな?って思ってたんだけどさ…」 「なーに言ってんだ?もう、今日は9時過ぎなんだから、病棟の方は消灯時間だろ?」 「そっか…。本当、望って可愛そうなんだな…こんなに近くに恋人がいるのにさ、仕事でしか雄介には会えないんだもんなー…」 和也はそうさり気なくそう言う。 そう和也に言われるとは思ってなかった望は目を丸くしながら和也の事を見つめる。そして、直ぐに視線を外して、 「え?あ、ま、まぁな…」 そう、急に素直に答える望。 そこで、和也は、 「やっぱさ、俺がお前等の為にプライベートな時間作ってやるよ…」 和也はそう言いながら望の返事を待たずにロッカールームへと消えていく。 部屋に残された望だったのだが、さっきとは違い、どうやら、少しはスッキリとしたような表情をすると、望にしては珍しく、陽気な様子で鍵のフックに指を入れて回しながら部屋を出ると家へと帰って行ったようだ。 一方、和也の方もそんな望の様子に気付いたのか、クスリとし、着替え終えると和也の方も自宅の方へと向かうのだった。 そう、和也の方も恋人である裕実の方が夜勤で和也の方も家に帰るしかなかったからだったのかもしれない。 今まで平穏だった日々に、次の日から望、和也にとっては平穏ではない日々が続くとは思ってはないだろう。
いいね
笑った
萌えた
切ない
エロい
尊い

ともだちとシェアしよう!