826 / 2160
ー波乱ー29
和也は裕実の手を掴むと椅子を持って来て、裕実を和也の隣へと座らせる。
「ほんで、新城って言うたっけ? 今、和也の事を狙ってるっていう人物は……」
「ああ、うん、そう。 本当にアイツから逃げる方法はねぇのかな? しかも、アイツはさ、裕実と俺の関係を知っているのにも関わらず、俺に言い寄ってるって事なんだよなぁ」
「和也さん! 僕にその人の様子を見させていただきませんか? そしたら、何か分かるのかもしれませんよ」
「あ! それ、いいかもな! お前って変な所気付くし、研修期間みたいなのが終わったら、アイツ、お前と組むような事言ってたしな……それから、作戦立てても遅くはなさそうな感じがするしさ。 まぁ、多分、その間少し位はちょっかい出されるのかもしれねぇけど。 でもなぁ、何でかな? アイツって俺に本気っていうのか伝わってこないっていうのか? なんていうのか? ただふざけているとも見えるんだよな……何でかな?」
やっと和也は冷静になって、いつもの自分を取り戻して来たのか颯斗の分析を始める。
「本当にアイツは俺の事好きなのかな? って思う所がたまにあんだよな? 本気ならさ、普通、仕事中でも何か仕掛けて来ないか? しかも、もっと、何かこうアピールしてきてもいいんじゃないかな? って思うんだけどなぁ。 確かに仕事中にはそういう事しては欲しく無いんだけどさ、なんていうのか……愛情? んー、何かが違う感じがするんだけどな……」
「ま、そこの所はまだわかってないって事なんだろ? それなら、裕実に任せてみたらいいんじゃねぇのか? 裕実にはこう人を分析するような力みたいなのがあるみたいだからさ」
「やっぱり、見破られてました?」
「……って、前に言ってなかったか? ウチの親父の下で働いていたとも言ってたし、その親父がお前の能力に気付いてんだ……俺にだって分かってるさ。 気付いてないのは鈍感な和也だけなんじゃねぇのか?」
「はぁ!? 何言ってんだ? 裕実がなんだって!? 何の能力があるって!? もう一度、詳しく俺に教えてくれよー」
本当に和也は何もわかっていないのか望と裕実の事を交互に見つめている。
そんな和也の行動に広い裕実と望はクスリとしていた。
「マジで和也はその事について気付いてねぇ!?」
そう言いながらも望は笑い続ける。
「……って、俺も和也同様に分からへんねんけどな? え? 裕実が何だっていうん?」
「って、二人とも、変なとこ鈍感なんだな……な、裕実……」
望は何かを伺うように裕実へと話を振るのだ。
ともだちにシェアしよう!

