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ー波乱ー148

 和也は窓の外に流れる景色を眺めながら今までの事を考える。  さっきの犯人のメールからすると犯人は複数人いる事は分かったような気がする。  メールを出して来た犯人と夏見駅に金を取りに来る犯人だ。  この時点で最低でもその望の誘拐事件に関わっている犯人というのは二人はいるという事だろう。  今まで自分達の中で犯人は内部犯か外部犯かというのを考えていたのだけど、これだと内部犯でも外部犯でも考えられるという事だ。  でも主犯格みたいなのは内部犯なのかもしれない。  和也はフッと裕二の横顔を見る。  やはり急いでいる時に渋滞に引っかかるのはイライラするのかもしれない。 普通の表情のように見えるのだが裕二は奥歯を噛み締めているようにも見える。 「スマンが……煙草吸ってもいいかな?」  そう聞いて来る裕二。 「大丈夫ですよ……以前、僕は望と一緒に煙草吸ってましたからね。 望もたまにではあるのですが、煙草吸ってましたし……まぁ、それと、望とは何かと色々あったんですよ」  和也は裕二に向かって何故か何も聞かれていないのにそんな事を口走ってしまっていた。  そう言いながら流れる景色を眺める。 東京という所は本当にビルばっかりの建物しかない所だ。 人間というのは今までの歴史の中でどんな事を学んで来たのであろう。 人間が生まれてきた当初は将来こんなビルが出来るとは思っていなかった。 しかしビルだけではない。 人間が作って来た歴史というのは本当に様々なジャンルがある。 そして人々も進化していく。 だからこそ次から次へと物の歴史が塗り替えられて行っているのであろう。  裕二の方はポケットに入れておいた煙草とジッポを取り出すと窓を開けて煙を窓の外へと吐き出す。 「ん? 望と君の間で何があったんだい? まぁ、しかし、望も煙草を吸った事があるなんてね」  その口振りだと望が煙草を吸っていたなんて事は知らなかったのであろう。  和也は急に慌てたように、 「あ、でも……! 一日一本位でしたから……! 今は雄介がいるおかげで吸ってないようですしね!」  その和也の慌てっぶりに裕二の方はクスリとすると、 「別に私の方は望が煙草を吸ってようが関係ないよ……もう、いい大人なんだしね」 「はぁ……まぁ……確かにそうですよね…」  なら良かった。 という表情をすると和也はシートへと体を預ける。 「……で、望とは何があったのかな?」  そういきなり和也に向けて質問をしてくる裕二。 どうやら裕二の目的はそっちだったようだ。  和也はため息を一つ吐くと、どうも裕二には嘘は吐けないとでも思ったのか今まであった事を裕二に話し始める。  裕二と和也が会ったのは、あの震災の時にだ。 それ以前の事は裕二は望の事を知らないという事だろう。

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