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ー波乱ー147

 裕二はその和也の告白にひと息吐くと、 「望はそういう性格だからね」  そう裕二がそう呟いた瞬間、パソコンの方からメールの着信音が聴こえてくる。  裕二はその音でパソコンの前へと立ちパソコン画面にあるメールの文面を読み始めるのだ。 『警察には連絡してねぇだろうな……。 先ずは夏見駅の中にあるコインロッカーの中に五千万を入れて鍵を掛けてから、黒スーツに黒の眼鏡を掛けた人物にそのロッカーの鍵を渡せ』  その犯人からのメールに、 『分かった……』  と返事をする裕二。 「梅沢君……ここに犯人に要求された二億円がある。 私は息子の為ならお金の方は惜しまないよ。 さて、行こうか? 先ずは五千万を持って……」 「はい! でも、犯人の方は何故、わざわざお金を分割にしてきてるのでしょうね?」  和也の方は手を顎に当て裕二の事を見上げる。 「一気に二億円だと運ぶのが大変だからだろ? それに、それにそんな大金を運んでたら、目立つからなんじゃないかな? それに今、要求されたのは、大きなカバンにお金を詰めて来いとも書いてあったしね。 時間もない事だし、とりあえず、行くよ! 間に合わなかったら、望が監禁されている場所を爆発させるとも言ってたしね」 「はい!」  和也は裕二に向かい笑顔で返事をすると二人は院長室を出て裕二の車がある駐車場へと向かう。  和也が院長室を出る頃には、もう裕実も颯斗の姿もなかったのだから和也と裕二が話しをし始めた時にはもう仕事に行ってしまったという事だろう。  駐車場へと着くと裕二の方は運転席の方へと乗り込み和也は裕二に助手席に座るように指示をされると助手席の方へと乗り込むのだ。  雨の方は朝だけだったのか今は止んでいる。 だが、まだ空の方は厚い雲で覆われていた。  フッと和也は車内を見て何かに気付いたようだ。  車内は望の車を同じように見えるのは気のせいなのであろうか?  そんな和也に裕二は和也が何が言いたいのか? っていうのが分かったのであろうか? 「私の車は望のと一緒だよ……」  和也は自分の心を裕二に読まれたような気がしてびっくりした表情をしていた。 「しかも、車種の方は同じで色違いって言った方がいいのかな? 私の方は黒で望の方は白っていう感じなのかな?」 「へぇー、そうだったんですか……」  しかし人の表情だけで、心の中を読んでしまう裕二はやはり凄いと和也は思ったのかもしれない。

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