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ー波乱ー146
裕実は和也の濡れてるスーツの腕を掴みながら笑顔を向ける。
「うん! 分かった!」
和也は裕実に笑顔を向けると裕実の手を離して今度は裕二の方へと体を向ける和也。
「病院内の事は二人に任せて、僕も望を助ける為に協力させて下さい! 院長お願いします!」
裕二は一瞬、間を置いたのだが、
「……君は確か……望と一緒に組んでる看護師さんだったよね? なら、望と一緒にいた時間は長かったという訳だ。 じゃあ、望がそんな状態で、仕事に集中出来る訳がないのだろうね。 新城君達が今日一日、望達の代わりをしてくれるのなら、君は抜けて、私と一緒に望の事助けに行ってくれても構わないよ」
それを聞いた和也は、
「ありがとうございます!」
そうもう一度、裕二に向かい頭を下げるのだ。
「和也さん! この事を雄介さんに連絡しました?」
「いや……今までそんな暇もなかったし、考える余裕さえもなかったし、それに、俺の携帯、朝水溜りに落としちまって……使えなかったしな」
そう言う和也なのだが裕実は和也の手に握られてる携帯を指差して、
「和也さん……その携帯は誰のですか!?」
「ん? これは……望のだけど……」
「じゃあ、とりあえず、今はその望さんの携帯でメールだけでも知らせておいた方がいいんじゃないんでしょうか?」
「あー!」
和也はその裕実の言葉に声を上げると、早速、雄介の携帯へとメールを打ち送信をする。
すると和也は裕二の所へと向かい、
「この携帯、僕が駐車場に来た時に新城先生が拾って下さっていたんです。 以前、望は僕に命を狙われているのかもしれないと相談してきたんです。 それで、しばらくの間、僕と桜井さんとで望の事を守っていたのですが、今日に限って僕が来るのが遅くなってしまい、望が一人でいた駐車場で連れてかれてしまったみたいなんですよ。 本当にそこは申し訳ございません。 今日のところは本当に僕のミスなんです。 まさか、誘拐にまで発展するとは思いませんでした……」
和也はそこまで言うと裕二に向かいもう一度頭を下げるのだ。
「とりあえず、過ぎた事というのは仕方がない事でしょう。 今は今の事を考える方が先決なんですからね」
「はい! それと望が言っていた事なんですが、望が初めて狙われた日に『これは俺の問題なんだから、親父や病院には迷惑を掛けたくない』と言っていたので、今まで言えなかった事なんです……」
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