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ー波乱ー170
雄介がこんなにも早く戻って来たのであろうか? いや雄介だったら逆にドアをこんなにもゆっくりと開けるだろうか?
そんなゆっくりと開かれるドアに望は視線を外さずに完全に開くまで待っていた。
「吉良先生……大丈夫ですか?」
そう聞かれた先に立っていたのは、ここの病院で働いている整形外科医の青嶋 皇志(あおしま こうし)だ。
「院長に頼まれて吉良先生の様子を見に来たんですよ」
皇志という人物は望がここで働き始めて一年後に来た人物だ。 勿論、頭の良さは医者としては変わらない位でスポーツの方は昔柔道や空手をやっていたという事らしく、だから体の方がガッチリとした体型だ。 顔の方もモテそうな顔をしている。 そうバレンタインなんかになると女性の患者さんからチョコを沢山貰える方なのだから。
「え? だって、先生は俺の担当ではないでしょう? それに、コンビである看護師さんは?」
望の方はどれだけ警戒しているのであろうか? それとも、この皇志が犯人とでも思っているのであろうか? 望はそう突っ込んだような質問を繰り返している。
「とりあえず、担当ではないのですが、院長に頼まれましたので来たんですけどね」
「それは何処で?」
「それは……」
そう皇志はその望からの質問に間を空け瞳を天井の方へと逸らすと何か考えているようにも思える。
「何をそんなに考える事があるんです? 院長に頼まれたのなら、頭のいい貴方なら、いつ、どこで、どんな場所でっていうのを記憶しているのですから、簡単に出てくると思うんですけどね。 今さっきの事なら尚更です。 貴方がすぐに答えられなかった理由はなんですか?」
望がそこまで言うと皇志の方は顔の表情を変えて、いきなり望に襲い掛かる。
皇志は望の首を自分の両手で締め始め望は片手だけで必死に抵抗しているのだが片手だけでは全くもって歯が立つ訳がない。 その間にも望の首は皇志の手によって締められていってしまう。 今度、望は声をも上げようとするのだが気管までも圧迫し始め、もう声にはならないようだ。
「本当……お前さぁ、あの爆発事故で、何で生きてられたんだかな。 生きてなきゃ、院長に可愛がられている俺が時期院長になれたのにさ。 お前が居ると出世に響く感じがするんだよね。 まさか、俺自らお前に手を掛ける事になるなんてさ、思ってもみなかったんだけど……」
皇志がそこまで言うと、いきなり望の病室のドアが開かれる。
「望!」
それを見た雄介はこの病室に飛び込んで来たようだ。
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