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ー波乱ー169
それから和也と雄介はクスクスと笑い始める。
「な、なんだよー」
「望ってこないに可愛いかったんかな?って思うてな」
「そうそう! 特に俺の事まで追い出してまでなんてさ。 そんなに望は雄介と一緒に居たかったんだなって思ってな。 そりゃ、俺は邪魔な訳だ……それに、携帯変えに行かないとだしな」
和也は望に望携帯をベッドの上へと投げ渡すと望の病室を出て行くのだ。
「望……どないしたん? 和也の事追い出しような事して……昨日、打ち所でも悪かったんか?」
「打ち所なんか悪くねぇよ」
そういうと望は恥ずかしくていたたまれなくなったのか布団の中へと潜ってしまう。
いつもと変わらない様子の望にホッとする雄介。
望というのはあまり言いすぎると口を開いてくれなくなってしまうからだ。
せっかく二人きりにしたのに雄介が望の事を構ってくれんくれない事に気付いたのか望は布団の中から顔を出す。
すると雄介の横顔が見えて、なんだかそれだけでも男らしさを醸し出している雄介。
しかし雄介ってこんなにもかっこよかったのであろうか? という表情で雄介の事を見惚れていると、それに雄介は気付いたのか、
「どうないしたん?」
そう笑顔で言ってくる雄介の顔が望の目に飛び込んで来たようだ。
「何か飲みたいもんでもあるか? トイレ近くなってまうけど……ご飯、あまり食えへんのやったら、水分の方はとっておいた方がええしな」
「あ、おう……知ってる……なら、ポカリにしようかな?」
そんな風に普通に言う雄介なのだが、どうやら望にはどんな雄介でもカッコ良く見えてしまっているらしく望は顔を赤くしながら視線を逸らしてしまっている。
「ほな、行ってくるな」
「あ、ああ……おう……ありがとう……」
雄介はそう言うと笑顔で望の病室を出て行く。
望がいる病室というのは三階の奥の病室で、あんな事件に巻き込まれているのだから当然、病室のドアには『面会謝絶』の看板が掲げられていた。
雄介が地下にある売店に向かっている途中で望の病室に一人の男性が望がいる病室へと入ってくる。
その男には『面会謝絶』の言葉が見えてなかったのであろうか? ゆっくりと望の病室のドアが開かれる。 望はそのドアの気配に気付いたのか警戒しながら、そのドアの方に視線を向けるのだ。
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