1026 / 2160
ー海上ー50
和也は仕方なしに運転席に戻ると車を走らせる。
和也が運転している間、車内の方は静かだ。
相変わらず望の方は機嫌が悪いままなのか黙ったままでいるのだから。
裕実の方は和也のようにこの空気を打破する事が出来ない性格だからなのかもしれない。
そんな中で和也の方はため息を漏らす。
「今日の晩飯どうするー?」
「お前なぁ、飯はさっき食ったばっかだろ?」
「俺は確かに平気なんだけどよ……裕実の方が腹減ったんじゃねぇかと思ってさ」
「確かにお腹は空いてますけど、まだ、平気かと……」
そう裕実は和也へと笑顔を送るのだが和也はその裕実の笑顔から何かを見抜いたのか、
「お腹空いてないねー? 今日さ、お前……病院の様子どうだったんだ?」
「そりゃ、日曜日でしたから、変に忙しかったですよ! 確かに日曜日ですから外来の方はありませんでしたけど……だけど、病棟の方が忙しくてご飯食べてる間もなかったんですからね」
「そういう事か……どうりでお前の顔色が悪いと思ったぜ……」
「和也お得意の誘導尋問ですか?」
「全然違うだろうがー。 俺はただ……今日の病院の様子を聞いただけだぜ。 それをお前が勝手に喋っただけだろ? そこは俺のせいじゃねぇよな?」
「そう聞かれたら、詳しく言わないとわからないでしょう? だから、僕の方は話したのに……」
「今はそれはどうでもいいんだよ。 俺はお前の顔色の悪さの方に心配したんだからよ。 お前がそう誘導尋問に感じたならゴメンな」
和也の方はそう素直に謝ると信号で車を止めた直後に裕実の前髪を掻き上げて額へとキスをする。
「ちょ! 和也!」
再び真っ赤な顔をする裕実。
「やっぱり、お前は顔色が悪いより真っ赤になった顔の方が断然可愛いよな?」
「でも、顔色の悪さは変わりませんからね」
「そんな事は分かってるよ……そんな事より、飯は家で作った方がいいのか? まだ、望の方は食いたくねぇんだろ?」
「当たり前だ。 お前のように俺の方はがっついてないからな……何事にもな」
そう望の方は物凄く機嫌が悪くなってきたのであろう。 嫌味を言うだけ言って再び窓の外を流れる景色を見始める。
和也の方はスーパーへと向かうと裕実と望を残して一人スーパーの中へと入って行くのだ。
ともだちにシェアしよう!

