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ー海上ー56
「やっぱり、望さんはご飯いらないんですよね?」
そう裕実の方は望の事を心配しながら和也に問うていた。
「大丈夫なんだろうよ。 しかも、もう、いい大人なんだからさ……自分がお腹空いたとかっていうのは分かるだろ? 望はお腹空いてないって言ってんだからそれはそれでいいんじゃねぇのか? それに、食いたくなったら食うんだと思うしな……」
「ですよねー」
そう和也の言葉に一応は納得するものの、やはり望の事が心配な裕実。
それに気付いた和也は再び望へと声を掛けるのだ。
「な、望……俺の方からはもう何も言わないけどさ、裕実がなお前の事心配してるみたいだぞ」
確かに和也が言うのだったら、きっと望の事なのだから聞かないのかもしれないのだが流石に何でだか分からないのだが、たまに望は裕実の言葉で言う事を聞く事がある。
望はその和也の言葉に数やの方へと視線を向けて、ついでに裕実の様子もうかがっているようだ。
その裕実の様子を見て望は和也が言ってる事が本当なんだという事に気付いたのか仕方なさそうに息を吐くと、
「分かったよ……食べる。 でも、俺は本当に少しだけでいいからな」
その望の言葉に反応したのは和也ではなく裕実の方だ。
裕実はその望の言葉に笑顔になると和也から離れて望の方へと駆け寄って来る。
「なら、望さん! 一緒に食べましょうよ!」
そう裕実は嬉しそうに望へと告げる。
「ああ、分かってるよ……」
「じゃあ、テーブルの方に行きましょうか?」
裕実は望の腕を引くと望をテーブルまで連れて行くのだ。
「望もきっと食うんだろうと思って、三人分用意しといて良かったぜ。 それに、望……焼肉っていうのはなぁ、一人で食うよりかみんなで食った方が楽しいんだぜ」
和也の方も望と一緒に食べる事になったからなのか、やはり嬉しいのかもしれない。
「そうですよ……! 一人で食べるよりみんなで食べた方が楽しいんですからー!」
「分かったって……」
そんな会話をしながら三人は席へと座ると手を合わせて、
「いただきます……」
そう三人はほぼ同時に言っていた。
それに微笑んだのは裕実だ。
「みんな一緒だと楽しいですね」
「裕実ー、早く食べないと先に食っちまうぜー」
「あー! 和也ってば本当に意地悪なんですね! 僕の為に用意してくれたんじゃないんですか!?」
その裕実からの冷たい視線に和也の方は気付いたのか体をピタリと止めてしまう。
「お前ってたまにボディーパンチ喰らう位の言葉言うよなぁ」
「何がですか? 僕の方は普通の事を言ってるだけですよ」
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