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ー海上ー55

「俺の方はハッキリとしてるから俺が不機嫌な理由っていうのはな……俺が一番好きなお笑い番組をお前等が見てて、で、俺の方はお前達の為に料理してたんだから、それを見れなくて俺の方は不機嫌なのー!」  和也の方はわざとなのか本気なのかっていうのはわからないのだがリビングテーブルの方に座って足を組みながら手を組みながら頰を膨らませていた。  それを見ている望と裕実なのだが普段は見られないような和也の態度に望と裕実の方は思わず吹き出してしまっていた。 「和也ー、それ、可愛いですね。 アハハハハー」 「さっきのお笑い番組なんかより現実の方が面白いのかもしれねぇよな」  望は裕実についで言葉を発すると望は裕実へと視線を合わせて何か合図を送ったようだ。  それに気付いた裕実は和也の側まで行くと、 「和也……僕の為にお笑い番組を逃してまで、ご飯を作ってくれてありがとうです。 僕はそんな和也の事、本当に大好きですからね」  裕実の方はそこまで言うと望からの合図もあって、そこは遠慮無しに自分の今の思いを和也に伝えたという所だろう。  裕実は望の前なのにも関わらず和也の頰へとキスする。  そこに気付いた和也はさっきまで不貞腐(ふてくさ)れていたのが嘘みたいに直ぐに頰の方を緩めると、和也の方は調子に乗ってしまったのか裕実の肩に腕を回して裕実の体を抱き締める。 「やっぱ、お前にそう言われるとさぁ、飯作ったかいがあったな……って思うんだよな。 そうだよな? お笑い番組なんかより、お前の方が大事に決まってるじゃねぇか!」  和也の方は席から立ち上がると、まるで、選挙に立候補した政治家のように真剣になって力説していた。 「ま、とりあえずさ……飯の用意は出来たしさ飯食おうぜ……」  和也はそう言うと、さっき準備していた野菜や肉をテーブルへと運んでくる。  そんな二人の様子を望は珍しくソファから見ていた。  それはまるで、子供の成長を親が見守っているような感じでだ。  そんな望の様子に気付いたのか、それとも料理を並べたら和也は望の事を呼ぶつもりだったのか和也は望の方に視線を向けて、 「お待たせ、本当に食べなくていいのか?」  そう和也に問われて物思いにふけていた望は、急に現実へと戻されたようだ。 「あ、うん……いらね……」  そう和也へと告げると望はソファへと寄り掛かる。  その望の様子にため息を漏らす望。

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