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ー海上ー77
「そりゃま……そうやねんけどなぁ」
それでも雄介はまだ納得してないようだ。
「じゃあさぁ、例えば、仕事でも望に何も言わないで大阪に行ってしまったお前と望の場合にはちゃんと雄介に仕事でアメリカの方に行くって言ってる望とどっちの方がいいんだよ。 まぁ、これは自分の立場になって考えるんだぞ」
和也の言葉に雄介の方は少し考えている。
「お前の方は望に何も言わずに大阪に行っちまって……望はどんな気持ちだったと思う? とりあえず、望はお前がいなくなってから相当心配もしてたし、どれだけ毎日のようにイライラしてたか……それに比べて望の方はちゃんと雄介に言ってから行こうとしてるんだろ? お前の前の行動に比べれば全然マシなんじゃねぇのか?」
「あの時だってな……俺の方は考えに考え抜いた結果なんやからな」
「雄介……今の俺はそんな事をお前に聞いてんじゃねぇんだぜ。 んじゃあさ、質問を変えようか? 雄介のように例え仕事だとしても黙って行ってしまう望と、今回のようにちゃんと仕事で一週間いなくなるっていうのを話すのとどっちがいいんだっていうのを聞いてるんだけどな」
「そ、そりゃあ、ちゃんと言うてくれて行った方が心配しないっていうんかな?」
「そだろ? だから、望は雄介に仕事で海外にいくっていうのを話したんだろうが……。 まぁ、そう……そういう事だな」
和也は雄介の肩をポンと叩くと前に歩いている望と裕実の間に入って今度は裕実の肩に腕を回す和也。
「まぁ、せやな……ま、和也の言う通りやんな! 何も告げずに行かれるよりかは、言ってもらってから行ってもらった方がええって事やんな」
雄介の方は一人でぼそぼそと呟くといつものように明るい表情を取り戻し望の隣に行くと雄介は望の腰へと腕を回すのだ。
「おい! こらっ! こんな所で腰に腕回すんじゃねぇよ。 恥ずかしいじゃねぇか……」
「平気やって……今時間なんか特に廊下とかに人いないんやしな」
雄介は望に向かって笑顔を見せると、望は赤い顔をしながらも急にいつもの雄介に戻ったようでそこには安心したのかもしれない。
「雄介ー」
そう和也は雄介の方に顔を向けると、
「やっぱ、温泉でってシたくねぇ?」
「それ、ええアイデアやんなー! その意見に乗った!」
それを言った直後に雄介と和也は急に大声を上げる。
「ちょ、痛っ! しかも、ええ所に入ったやんか」
「裕実……お前もだぞ……」
「お前達が変な事言うから痛いようにしたんだよ」
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