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ー海上ー76
望が雄介の事を説得しても雄介の方は未だにイマイチ納得そてないようにも思える。
「ほな、なんていうんかな? 何もアメリカまで研修に行かなくてもええんと違う?」
「アメリカだと日本とかよりか薬とか医療に関して承認している薬なんかも早いんだよ。 心臓移植なんかも全然アメリカの方が進んでるしな。 それだって、アメリカまでわざわざ運ばないで技術さえ学べれば日本でだって出来るようになるだろ?」
そんな事を言う望に雄介の方もやっと納得したようで、
「せやね……やっぱ、そういう所は望達が頑張ってこその所なんやから、まぁ、頑張って研修してきてな。 そうそう、俺達がしている仕事っていうのはそういう大事な仕事をしとるんやったな。 人を救う仕事しとるんやから、まぁ、勉強とか研修とかっていうのは必要な事やったんやっけなぁ」
雄介の方は本当に納得したのであろう。 箸を手にすると雄介はご飯を食べ始める。
まさか雄介が望の事をここまで止めるとは思ってもいなかった事だ。
望も和也も二人は視線を合わせると首を傾げる。
せっかく羽を伸ばしに旅館に来ているのだから、望がそんな事を切り出してからはこう楽しくなくなってしまったようにも思える。
夜の方も雄介がこんな事では楽しむ事も出来ないのかもしれない。
食事を終えた四人は旅館内にある温泉の方へと足を向ける。 だが未だに雄介の方は浮かない顔をしているようだ。
そんな雄介に望の方はどうしたらいいのか? っていうのが分からないのか、和也と裕実と一緒に温泉がある方へと歩き始める。
「な、雄介の事、放っておいてもいいのか?」
「大丈夫なんじゃねぇのか?」
といつものように雄介にはツンデレな態度を見せる望なのだが雄介がこんなにも暗い姿を見たのは本当に久しぶりで気になっているのは確かだ。
そして温泉に着いてからも雄介の方は、いつものようにはしゃがずに寧ろ静かになってしまっている。
なんか望からしてみたらそんな雄介の態度に拍子抜け状態なのかもしれない。
望は温泉に浸かりながらも大きな息を吐く。
だが和也は雄介へと近付き雄介の機嫌を取りに行ったようだ。 和也は雄介の肩に腕を回すと、
「そんなに心配しなくても大丈夫だって、ただ俺達の方は勉強をしにアメリカに行くだけなんだしよ。 それが一年とかじゃなくたった一週間だけなんだぞ。 前にお前が大阪に行った時よりも短いんだからな」
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