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ー海上ー

「だけど、その言い方だとそうじゃねぇんだろ? それで……?」  本当に望はめんどくさそうに言うと先を促す。 「まぁ、一応は呼び出しみたいなもんなんだけどね……」  そんな言葉に今にもため息を吐きそうな望だったのだが、とりあえず、大人しく裕二の言葉を待つ。 「君に紹介したい人がいるのだけどね……だから病院の方に寄ってくれるかな? もう、メガネの方は出来てるんだろ?」 「ああ、まぁな……。 で、親父が俺に紹介したい人って誰なんだよーー……? まさか、病院に新しい人が入って来るからそいつの面倒を見てくれてって言うんじゃねぇだろうな? それは……構わないんだけど……それだったらまた今度でいいんじゃねぇのか?」 「そうじゃないよ……。 君にとっても大事な人だと思うんだけどね……」  何故か裕二は『大事な人』と言うだけで誰とは言ってはくれない。 だが、その大事な人という言葉で何故か望の方は雄介の方に視線を向けてしまっていた。 そう、望からしてみたら雄介は大事な人に当たるからなのかもしれない。 「……って、まさか!? 俺にお見合いさせる気じゃねぇだろうな?」  望がそう叫ぶとどうやら雄介の方も反応してしまったらしいのだがそこは運転しているからであろうか? 耳をピクリと動かすだけで止める。 「それもハズレ……。だって、君は雄介君と一緒にいてそれはそれで幸せなんだろ? なら、私は邪魔をする気はないよ……。 それに例えお見合いも話でも『大事な人』という言葉には合致しないだろ?」  なかなか答えを言わない裕二に焦ったさを感じてきた望は、 「じゃあ、誰なんだよ……その大事な人っていうのはさ……」 「やっぱりそこは君にとって大事な人っていうのは雄介君しか見えていないから出てこないもんなのかな? まぁ、ヒントとしては『家族』って事かな?」  裕二の性格というのは本当に意地悪な方なのかもしれない。 未だに答えをいうつもり等毛頭ないのだから。 「家族!?」  それでも望の頭にはまだまだピンとはきてないようだ。  とりあえず、望は今言われていた裕二の言葉を考えながら雄介には病院の方に向かうようにジェスチャーを使って指示を出す。  だが、暫く悩んでも望からは答えが出ずに降参したようだ。 「いくら考えても出て来ねぇよ……。 だって、お母さんも親父と一緒に帰って来たんだろ? だから『大事な人』に当てはまる訳じゃなさそうだし……寧ろその言葉が似合うのは親父なんだからさ……それにお母さんをわざわざクイズにする必要もないんだしな……」 「……まだ分からないのかな? じゃあ、そこはまた病院に来てからだよね? ああ! そうそう! 今日は雄介君も一緒なんだろ? なら雄介君も一緒に顔を出しにおいで……」  そこまで言うと裕二の方は勝手に電話を切ってしまうのだ。

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