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ー崩落ー119
「運転変わんで……疲れてるやろしな」
「いいよ……今は俺が運転したい気分だからよ」
「あ、まぁ……そういう事ならな」
雄介はそう返事をすると素直に助手席の方に腰を下ろす。
雄介がシートベルトを締めたのを確認すると望は車を走らせ駐車場出口まで来て、いつもとは違う道へと出るのだ。
「おい……望! いつもと道違うじゃ……ないん?」
「今日はこっちでいいんだよ。 でもさ、お前は今日遅くなってもいいのか?」
「え? あ、まぁ……構わへんで……今日はゆっくり休んでおったしな」
「歩夢の所に行ったのに、今日の休みゆっくり出来たのかよ。 まぁ、そこはいいんだけどさ。 そこは、とりあえず、お前の言葉を信じるよ。 話は変わるんだけどさ、もし、ちゃんと歩夢に断る事が出来たら、俺の事デートに誘ってくれるって言ってたんだよな? んで、俺の事何処に連れて行ってくれるつもりだったんだ? ブランド物のスーツまで着てきちゃってさぁ」
「んー、んーと……そんな先までの事考えてなかったっていうんかな? アイツに断る理由を考えるのが精一杯やったし。 まぁ、そこら辺をドライブしてディナーでも行って、ま、その後はホテルなんかな?」
最後の方は望の顔色を伺いながら言う雄介。
「お前がそうしたいって言うんだったら、俺はそれで構わないんだけど」
望にしては珍しくスッキリとしたような表情で答える。
「望がそれでええねんやったら、俺はそれで構わへんで……」
雄介の方も今の望の言葉で笑顔になると暫くの間二人はドライブを続けるのだ。
そうは言っても、まだ明日は仕事があるのだからそんなの遠くには行けない。
ただただ都会にひしめくビルとビルの間を走り回るだけだ。
東京というのは明かりが多すぎて自然の光を放つ星を見ることは出来ないのだが人工的な光が幾億もの光りを作って星を作る。
望と雄介は二人だけの楽しい時間を過ごし、
「……で、飯はどうするんだ? やっぱり、焼肉にするのはダメだよな? お前がいい服着ちまってるし」
「そりゃな……ほんなら、前に行った事のある展望レストランにせぇへんか? 初心に戻ってな」
「ああ、俺はそれでも構わないぜ」
そう決めると二人は車を展望レストランがあるビルの方へと走らせる。
二人はデートらしいデートをし、ご飯を食べ終えると、
「な、望……ホンマに運転変わるって……」
「いいって言ってんだろ」
「ほな、望は運転しながらホテルに入る事出来るんか?」
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