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ー過去ー121
「あ、そういう事か……。 ま、この店は個室だし、見つかるって事はねぇだろー?」
「ま、確かに……そうだな……」
二人からの似たような質問責めに和也の方は一気に疲れが出てしまったようだ。 和也はとりあえず先に店の中へと入ろうとした直後、
「なぁ、もし、アイツ等の隣の個室にしたら会話聞けるんじゃねぇのか?」
その和也からの言葉に裕実と望は足を止める。 正確には望より先に歩いていた裕実が足を止めた事によって、望が足を止めなければならなかったという事だろう。
「ですよねー?」
裕実にしては珍しく和也の言葉の同意する。
「やっぱり、気になるよな? 実琴と新城の関係って……」
「そりゃあ、気になりますよー。 僕と和也の運命がかかってるんですかねぇ」
「だよなー?」
和也は何かいいアイデアでも思いついたのであろうか。 ドアを一気に開けると、
「いらっしゃいませ……」
そう店員が言った直後、
「スイマセン……。 さっき、病院のスタッフがこちらに来ませんでしたか? もし、来ていたのならそのスタッフの隣の個室にしていただきたいんですが……」
「同室ではなく、お隣の個室でございますか?」
「はい」
「お隣の個室でしたら、空いておりますよ。 今すぐにでもご案内致します」
「ありがとうございます」
店員は先導して歩くと和也達は新城達がいるであろう個室の隣りの個室へと案内される。
「……って事は新城達は右隣の個室にいるって事だな。 来た時に右隣りの個室の下駄箱に靴があったからな」
そうこの焼肉屋店は全室個室で和室部屋だ。 和室に統一する為なのか個室の中はほりご達になっていて、夏は机だけで冬になると炬燵になるようになっていた。 だからなのか全室靴を外で脱ぐようになっているのだから。
和也は早速、右隣りの個室の様子をうかがう為に壁に耳を貼り付けるのだ。 流石にテーブルに付いてるだけでは話は聞こえて来ない。
「肉を焼く音はするけど……アイツ等の声も聞こえてくるぜ」
「本当ですか?」
その和也の言葉に食い付いたのは裕実だ。
「……で、二人の会話の内容はどんな感じなんですか?」
和也は唇に人差し指を当て。
「シー! 静かにしてねぇと、よーく、聞こえて来ないんだよな。 だから、ちょっと待っててくれねぇ?」
「分かりました」
和也に静かにしてくれと言われて望達がいる個室は静かになる。
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