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ー過去ー120

先に焼肉屋の駐車場に着いた和也は車を止めると、ある事に気付く。 「ん? あれ? 新城の車なんじゃねぇか? まぁ、俺の記憶が正しければの話なんだけどさ」 「僕は確かに新城先生とコンビを組んでましたが、新城先生の車って知らないんですよねぇ?」 「そうなのか? 俺は毎日のように見てるからなぁ。 あ! そうそう! 新城の車は俺の車の隣りにあるからよ」 「そうだったんですかぁ? じゃあ、あのシルバーの車ですかね?」 「そうだぜ。 シルバーの車。 だけど、シルバーの車ってよく見掛ける車だしな」  そう言いながら和也は車から降りると、恐る恐るナンバープレートを覗いでみる。 「ゲッ! やっぱり、新城のだったわぁ!」 「……へ? 何で分かったんですか?」 「さっき、毎日のように新城の車見てるって言っただろ? 当然、ナンバープレートの番号も知ってるって事だよ。 まぁ、この焼肉屋には個室があるし、向こうは俺の車を見ない限りは俺等がここに来た事さえわからないんじゃねぇのかな?」 「別にいいんじゃないですかー。 今は新城先生と会っても……新城先生は今は和也ではなくて本宮さんなんでしょう?」 「あ、そっかー、忘れてたぜ。 それに最近、一緒に仕事してたから余計に忘れてたのかもな」 「やっぱり、たまに和也って抜けてる所ありますよね?」  そんな話をしていると後から来ていた望の車が到着したようだ。 こう一緒に走らせていても、途中から他の車が間に入ったりしてきて離れてしまうのは仕方がない事だろう。  望は車から降りて来てひと息吐き、 「悪ぃ……遅くなっちまったみたいでさ……」 「仕方ねぇよ。 二台で来てるんだからさ……。 それより、新城がこの焼肉屋に来てるみたいだぜ。 ほら、俺の隣りに新城の車が止まってんだろ?」 「……へ? そうなのか? 何で和也は新城の車だって知ってんだ?」  裕実と同じ質問に和也は転けそうになった。 「あのなぁ、二人して同じ質問してくんなよな。 ま、望には言ってねぇんだけど……新城の車と俺の車っていうのは病院の駐車場では隣りなんだよ。 だから、毎日のように新城の車っていうのは見てる訳さ……」 「だってさぁ、その車の車種っていうのは結構出回ってるやつだろ? だから、新城のとは限らないんじゃねぇのか? って思ったんだけどよ」 「それは、毎日のようにナンバープレートを見てたから覚えてたんだよ」

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