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【10章】ー天使ー1

 今日は雄介が仕事休みの日で、望は自分の仕事が終わると真っ直ぐに雄介が待っている家へと向かっていた。  雄介が仕事で休みの日というのは今の望からしてみたら嬉しくて仕方がないのかもしれない。 だって、もう望が雄介と恋人になってから何年も経っていて、望だって本当に雄介の事が好きになったのだから、休みの日が待ち遠しくて仕方がないに決まっている。  望は逸る気持ちを抑えながら、車を家に向けて走らせる。 要は早く帰りたい気持ちが勝るのだが、それでもルールというのが決められているのだから、ルールを守って車を早く走らせて帰りたいという事だろう。  そんな気持ちで今日の望は早く家に帰宅してきたのだが、車を駐車場へと止めると、何だかいつもと家の中が賑やかというのか、いつもと雰囲気が違うというのか、何かいつもとは違う違和感に気付づいたようだ。 そこに首を傾げながら玄関へと足を向ける。  しかし今日は雄介しかいない筈なのに、こうも家の中が賑やかというのか気持ち明るいっていうのか、こうも何かが違うと思いながら玄関を開ける望。  このいつもより賑やかな感じがするという事は誰か雄介以外の人が来てるという事なんだろうか。 そう例えば和也や裕実が、望には何も聞かないでサプライズ的に遊びに来ているという事なんだろうか。 と色々考えながら家の中へと入って行くのだが、今日はいつも迎えに出てきてくれる雄介だって来ない。 そこにまたまた首を傾げ望はリビングの方へと向かうのだ。  すると聞こえて来たのは、大人の声ではなく、こう子供の甲高い声だった。 しかし、この家に住んでいるのは雄介と望だけなのだから、子供の声が聞こえて来る筈はない。 まさか、これが噂にある座敷童子や子供の幽霊の声が聞こえていしまっているという事なんだろうか。  いや、しかし望がリビングに向かうにつれ、その子供の声は大きくなってきて、やはりそこは幻聴ではないのかもしれない。 しかも、ちゃんと雄介と会話になっているようにも思える。  だが、いる筈もない人物の声が聞こえてきているのだから、望からしてみたらこう警戒しながらリビングへと向かいドアを開ける望。  すると、まず望と視線が合った人物というのは雄介だ。 そう雄介はソファに腰掛けて望と視線が合ったと同時に、 「おかえり……」  と声を掛けて来る。  望はその雄介の言葉に、 「ああ……」  と答えるのだ。  いや、しかし望がリビング全体を見渡してみても本当に子供の気配はなく、雄介しか見えてない。  とりあえず、さっきの子供の声というのは疲れていて幻聴だったんだと思った直後だっただろうか、雄介の肩の辺りから顔をひょっこりと出し、望の事を見上げている子供の姿が目に入ってくる。  望はそんな子供の姿に目を見開いたまま口をパクパクとさせていると、

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