1475 / 2160
ー天使ー22
「た、誕生日席も知らないのか!?」
その和也の言葉に望は和也のことを睨み上げる。
望の表情に和也は望が何が言いたいのかが分かったのか一つ溜め息を吐くと、
「ゴメン……ゴメン。 望は子供のこと、よく知らなかったんだよな。 それをバカにした俺が悪かった」
和也は望に向かい詫びを入れるのだ。
「とりあえずだな……誕生日席ってのは、俺等が座ってるとこじゃなく、今、琉斗が立っている場所の事なんだよ」
和也はそう言うとテーブルの端を軽く叩くと望にしては珍しく頭を頷かせていた。
「それで、こういうファミレスにはさぁ、少し高めの椅子があるんだよな。 そう子供用の椅子がさ。 だから、琉斗はその椅子に座りたいんじゃねぇかなぁーって思ったんだけど……」
和也は琉斗の方に顔を向けると、琉斗からの返事を待つようだ。
「琉斗……どうなんだ? みんなと一緒の席に座るか? それとも誕生日席に座るか?」
こういうことを大人である和也達ではなく、和也は琉斗に決めさせようとしているようだ。
琉斗は和也に選択権を与えられ首を傾げながらも考え始める。
しばらくして琉斗は顔を和也の方に向けると、
「和也兄ちゃん! 僕、ここに座る!」
そう琉斗は元気な声で言うと、テーブルの端を軽く叩きながら目を輝かせ和也のことを見上げるのだ。
「なら、琉斗はこの席な……」
和也は店員さんに向かい腕を軽く上げると子供用椅子を頼む。
それから四人はメニューの中から品物を選び頼むと琉斗と中心に会話が繰り広げられる。
「琉斗は、おじちゃんのこと好き?」
「うん! スッゴイ好き! 消防士さんだからカッコいいってのもあるんだけど……ママと違って玩具も買ってくれるし、ご飯作ってくれるし、遊んでくれるから!」
そう無邪気な笑顔で話す琉斗に和也の方は微笑んでいたのだが、何故だか、和也の前に座っている人物から氷のような視線を感じるのは気のせいであろうか。
そんなオーラを出されていたのでは和也でさえ頭を上げることが出来ない状況だ。
ともだちにシェアしよう!

