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ー天使ー77

本当はお母さんにも来て欲しいんだけど、お母さんは病気で来れないんでしょ? だから、和也兄ちゃんと裕実兄ちゃんと望兄ちゃんと雄介おじさんに見に来て欲しいんだけどなぁ。 今ね、みんなで踊りの練習もしてるんだー」 「行くのは別に構わねぇよ……その運動会っていつなんだ?」 「んー? 今度の今度の日曜日!」  きっと琉斗は再来週の日曜日と言いたいのだろうが、琉斗はまだ子供でそんな言葉は知らないのだからそんな風に言ったのであろう。 「再来週か……まぁ、日曜なら、空いてるけどな」  和也がそう答えている間に、望は顎に手を当て何か考え始めたようだ。  望は次の瞬間、琉斗の方に顔を向けると、 「多分、再来週なら、琉斗のお母さんも運動会に行けると思うぜ」  その望の言葉に、和也も何かを思い出したのであろう。 「あ、そうか……確か、琉斗のお母さんの手術、今週の木曜日の予定だったもんな」 「だからさ、それさえ終われば、琉斗の運動会まで一週間以上はある訳だろ? 流石に退院までとは行かねぇけど、一日位なら退院許可を出してもいいしよ。 まぁ、後は琉斗のお母さん次第ってとこかな? だから、琉斗、お母さんに運動会の話してもいいぞ。 そしたら、早く回復出来るかもしれないからな」 「うん! 分かった! 今度、お母さんとこに行ったら話すよ!」  丁度、話が切れた位に車は遊園地の駐車場へと到着したようだ。  少し遅い時間に家を出てきた和也達。 遊園地はもう開園しているらしく、車の中にいても騒ぎ声が聞こえてきていた。 きっと、その声は駐車場の目の前を走り抜けていくジェットコースターからだ。 「さて、雄介を起こして、遊園地に行きますか」 「そうだな」  望は和也の言葉にそう答えると、今度は琉斗の方に視線を向け、 「琉斗、雄介のことを起こしてやってくれよ」 「うん!」  琉斗は元気な声で答えると、雄介の膝の上に乗り大きな声で、 「雄介おじさん! 遊園地に着いたから起きて!」  その車内に響き渡るような声で琉斗は雄介のことを起こしにかかる。  流石にそんな大きな声で言われたら人間ていうのは、直ぐに起きてしまうに決まっている。 雄介は今の声にビックリしたようで目を丸くしながら飛び起きるのだ。 「ホンマ、ビックリしたわぁ」  そんな雄介の前には笑顔の琉斗の姿があった。  それで雄介は思い出したのであろう。 「せやったな……今日は遊園地に来たんやったな」

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