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ー決心ー35
「ま、それは置いておいてー。 雄介は望がいなくても絶対に大丈夫だと思うぜ」
そう和也は笑顔で望に向かい言うと、望は和也のその笑顔に安心したのか、
「そうだよな……雄介なら、大丈夫だよな」
「大丈夫、大丈夫!」
「雄介が大丈夫な事を信じて、俺達は明日の昼まで仕事だぞ!」
「ああ、分かってるって!」
和也と望は気合いを入れると、部屋を出てまずは診察室へと向かうのだ。
その日の夕方。 望達の予感は的中してしまっていることを望達は知らないであろう。
昨日同様に歩夢は雄介が通う大学の校門で雄介の事を待っていた。
沢山の生徒が出て来る中、一人他の人よりも頭一個分位、背の高い男性がキャンパスから出てくる。
「雄兄さーん!」
歩夢は雄介の姿を捉えると、雄介に向かい手を振るのだ。
その歩夢の姿に気付いた雄介は歩夢に向かい走って来る。
「ちょ、お前なぁ、恥ずかしいやんかぁ」
「だから、手を振って雄兄さんの名前を呼んだんだよ! そうそう、雄兄さんを呼ぶ為にね!」
「はい!?」
「僕が言った意味分からない? 僕が雄兄さんに向かって手振ることをすれば、雄兄さんは恥ずかしいって訳でしょ。 でも、僕のことを黙らせる為に僕の方に来るってことなんだけどな」
そんな歩夢の言葉に雄介は溜め息を漏らす。
まさか歩夢がそこまで計算していたとは思っていなかったからだ。
そして今日も雄介は歩夢に捕まってしまい一緒に駅まで向かうことになる。
だが雄介は歩夢より先に歩き歩夢の事を無視を決め込んで歩くものの、歩夢はその後ろから雄介の後を追い歩き続ける。
「雄兄さん!」
雄介の真後ろででかい声で呼ぶ歩夢。 それでも無視を決め込んでいた雄介だったのだが、そんなでかいの声で呼ばれたら振り向くに決まっている。
雄介が振り向くと笑顔の歩夢の顔が飛び込んできた。
「なんやねん……」
「あのさぁ、今日は兄さんがいない日だよねぇ?」
「それが、どないしたん?」
「やっぱり、兄さんいない日なんだね。 ならさぁ、今日、雄兄さんの家に行っていい?」
「はい!? ええわけないやんか……」
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