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ー決心ー56

 望は雄介に続き窓の縁に手を掛け自分の体を引き上げようとしたのだが、やはり普段鍛えている雄介とは違い望は鍛えていないだけあってか自分の力では自分の体は持ち上がらないようだ。 「望! 便器に足乗せたら、少しは上がりやすくなるやろ?」 「あ、ああ、そうだな……」  それでも先程より三十センチ縮んだだけで、腕の力が無ければ上がれないのかもしれない。 「ゴメン……雄介……俺の腕の力では、この窓まで上がれねぇんだけど……」 「……へ?」  雄介は少し考えると、望に向かい、 「ほなら、望、その個室で待っとってー」 「って、どうするんだ?」 「もう一度、俺がそこに戻って、望のことを先に押し上げるし」  雄介が言っている意味が分かったのであろうか、望は個室の中へと戻ると雄介は再び望が居る個室へと戻って来る。 「望、窓の縁に手かけて……」 「あ、ああ……」  望は雄介に言われた通りに手を窓の縁へと掛け、それを雄介は下から望の体を持ち上げるのだ。 すると望は簡単に窓から外へと出られたのである。  そして雄介も先程と同じように窓の縁に手を掛けた途端、後ろの方から声が聞こえて来る。  雄介はその声に後ろを振り返ると、そこには先程から追い掛けて来ていた犯人の姿が目に入って来たようだ。  雄介は急いで、その窓を登り切ると望の腕を取り一階の屋根の上から下へと飛び降り走り出す。  やっとのことで病院から離れることが出来た二人は誰もいない公園で息を整えるのだ。 「しっかし、和也と歩夢は何処に連れてかれたんやろか?」 「あの倉庫と病院じゃないとすると、全く想像がつかねぇよな」 「あ、ああ、せやな……?」  雄介は目を宙に浮かせると、 「な、望……この分だと、やっぱ、あの病院の奴らが歩夢のことを誘拐したことが高くなる訳やろ? ってことは、望の親父さんは大丈夫なんやろうか?」 「……俺の親父!?」 「お前の予想やと、お前の親父さんは話つけに、この病院に来たんやろ? せやったら、望の親父さんも危ないんと違ゃうかなぁ? って思うたんやけどな」

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