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ー決心ー94

 どうやら歩夢は新たに雄介を落とす方法を考えているらしい。  そう雄介は優しい性格である。 だからこそ、それを突いた攻め方なのかもしれない。 「分かった……」  そう雄介は顔を俯け静かに言うと、 「せや、人のことを考えとる場合やなかったんやな。 俺が本当に好きなんは望なんや。 断るという優しさもあるっちゅう訳やしな」  雄介は独り言を漏らすと、歩夢の方へと顔を上げ真剣な目つきで、 「歩夢……ホンマッ! 悪い! 今まで俺が歩夢に言ってきたこと無しにしてくれへんか? 俺は確かにお前に軽はずみに好きになってもええって言うたけど、それじゃ、アカンっていうのが分かったんや……俺のことを好きになってくれたのはめっちゃ嬉しいねんけど、俺はどうしても、やっぱり、望のことが好きなんや。 それもあんねんけどな。 お前も、もう、俺にハッキリ断られた方がええやろ? そしたら、俺のことを諦めることが出来るし、新しい恋を見つけることが出来るって訳やし、その方がお前にもええと思ったから、これからは、俺達のどちらかと恋人同士になるってこと諦めてくれへんかな?」  歩夢はその雄介の言葉に溜め息を吐くと、 「雄兄さんは、本当に兄さんのことが好きなんだね。 分かった……。 今までは雄兄さんにハッキリと断ってもらえなかったから、僕にもチャンスがあるのかなぁ? って思っていたけど、逆にハッキリ雄兄さんに断られて、スッキリした気がするよ。 本当に僕はもう二人の間に入れないって感じがするしね。 ……新しい恋……僕にも出来るかなぁ?」  雄介にこうハッキリと断られ歩夢は雄介達に迫るということを諦めたらしい。  地球から見える月。 先程まで雲に隠れていたのに、今では歩夢のことを応援するかのように真ん丸い顔を雲の隙間から覗かせている。 「直ぐに新しい恋……見つかると思うで……。 あの和也ですら、望のことを諦めて直ぐにとは言わへんけど、恋人が出来たんやしな。 人の物を盗るよりか、また、新しい人を見つけた方が、より幸せになれると思うで。 今の和也はホンマ幸せそうやからなぁ」

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