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ー決心ー95
「そうみたいだね。 和也さんが兄さんのことを好きだったってことは知らないけど……。 今は確かに裕実さんと幸せそうだしなぁ」
こう羨ましそうに語り始める歩夢。
「それに、まだまだ歩夢は若いんだし、俺より素敵な人が見つかると思うで……」
「そうだねぇ。 こうなったら、雄兄さんより、かっこいい人を見つけちゃおうかなぁ?」
「そうや……そうや……その方がええでー。 ま、まぁ……俺のことを諦めてくれたんなら、そういうことに関して俺に相談してきてもええからな。 いつでも、相談に乗ったるから」
「……って、雄兄さんなんかに相談して大丈夫かなぁ?」
そう不安そうに言う歩夢だが、ふざけて言っているのか笑顔で言っていた。
本当に歩夢は雄介のことを諦めることが出来たのであろうか。 でも、だからこそ今は笑顔で雄介と話を出来ているのかもしれない。
「大丈夫やって! これでも俺は今までに二人と付き合って来ておるんやからなぁ」
「二人って? 二人共男の人?」
「そうや! 一人は勿論! 望やろ……もう一人は大学ん時に付き合うていた奴がおったんや。 まぁ、そいつはもう居てへんけどなぁ」
そう切なそうな顔をすると、雄介は何かを思い出したのか、
「あ、そうや……今日はアイツの命日やったなぁ」
「命日ってことは、その人は死んでしまったの?」
「ああ、まぁな。 ま、今は俺には望が居るからええねんけど、今日やったんやなぁ、アイツの命日って……。 とりあえず、助かったら、お墓参りにでも行きたいねんけどな」
そう雄介は独り言のように漏らしていると、どうやら望達はとりあえず車内にいる人達の応急処置を終えたらしく戻って来たようで、和也は今の雄介の言葉を聞いていたのか、
「へぇ、今日はお前の前の恋人の命日だったんだぁ。 だってさぁ、望……」
そう和也は意味ありげに望へと振るのだが、
「それは別にいいとして……。 とりあえず、まずは、お前の腕を診なきゃなんねぇだろうがぁ」
業務的な望の言葉に和也は顔を手で押さえ、
「本当、望はそういうことに関しては頭が固いよなぁ」
「本当だよー。 つーか、兄さんは雄兄さんのこと分かってないっていうの?」
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