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ー希望ー72

「って、裕実、大丈夫かぁ!?」 「だ、大丈夫ですよ……と、とりあえず、雄介さんは患者さんと一緒に下山して下さい!」  そうは言うものの段々と裕実の顔色が悪くなってきているように思える。  そんな裕実を雄介は心配そうに見つめるのだ。  いや医者として裕実の具合を伺っているのかもしれない。 「大丈夫ってな……。 とりあえずはお前の方も応急処置位しかしとらんのやで、場合によっちゃ、患者さんよりお前の方を優先的に……痛っ……」  今まで普通に話をしていた雄介だが、見た目では外傷とかは無いものの、どうやら雄介も何処か痛めてしまっているのか痛みで顔を歪める。 「雄介さんだって、人のこと言えないじゃないですかっ!」 「俺は大丈夫やって……多分、ただの打撲程度やろうし……多少、痛いっていう位やしな……」 「打撲程度なら、いいんですが……もし、頭の中で出血してたらどうするんですかぁ!?」 「アホ……そうなことを言うとる場合か……? 今はとりあえず動ける俺がどうにかするしかアカンやろうしなぁ」 「確かに、そうですけけど!」 「それに、誰かが動かなきゃ、助けに呼びにも行けんしな。 とりあえず、俺はお前を先に連れて行くわぁ」  雄介は立ち上がると、裕実を抱き上げて下山しなければならない為に首や腕を軽くほぐし始める。 「雄介さん! 僕なんかより、先に患者さんの方を優先して下さい!」 「何言うてんねん! 友達だからとかそんなんじゃないで! お前の方が重傷やと思うたから、先に下山させるって言うてるんやからなぁ」 「そうかもしれませんが……僕達がいない状況で、もし、患者さんが急変してしまったらどうするんです? 確かに望さんは重傷な人からヘリで患者さんを運んでいるのかもしれませんがね」  裕実のその言葉に雄介は頭を悩ませる。  確かに裕実の言う通り患者さんの方は足を骨折した程度の怪我ではあるのだが、もし万が一、頭や内臓で出血していた場合、一刻も早く病院に連れて行って処置をしなければならない。 だが今のところ、その患者さんにはそういった症状はなさそうだ。 だが裕実の場合、頭を明らかに打っていて外傷もあり、しかもそこから出血もしている状態だ。

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