1985 / 2160
ー信頼ー37
「そっか……そういう事だったんだな」
望はそう答えると遠い目をするかのように天井を見上げる。
「とりあえず、俺は雄介の事を好きになって良かったと思ってるよ。 確かに前に女性と付き合った事があって、それからフラれてからは恋愛に対して完全にトラウマになってたけど……なんだろうな? 雄介と居ると安心もするし、すっげぇ楽しくも感じてるんだよなぁ。 まぁ、たまに喧嘩とかしたりするけどさ。 雄介っていう人物は、俺に恋人といるだけで幸せになれるんだって事を教えてくれた人物なんだよ」
「そうなんですね。 確かに、望さんは雄介さんといる時っていうのは本当に幸せそうですもんね。 僕の方も勿論、和也と居るだけで幸せな気分になるっていうのを教えて貰いましたし、勿論、僕の方も和也と居ると幸せな気分になれてますからー」
「それなら、良かったじゃねぇか。 過去はどうあれ今は幸せなんだろ?」
「望さんって……よく、お婆さまに育ててもらっていたっていう話をしますよね? という事は望さんって小さい頃はお父様とお母様にあまり会えてなかったって事なんですか?」
「ああ、まぁな。 前に朔望が言ってただろ? 『俺はどうしても親父達とアメリカには行かない』って……まぁ、俺がどうしてそんな事を言ったのか? っていうのは分からないんだけどさ。 朔望も言ってたけど、子供ながらにこう思ったのかもな『一緒にいても親父もお袋も仕事で家にいないのだから寂しい思いをするだけ』だってな。 子供の頃って、家に帰って来て、お母さんとお父さんが家にいないのは寂しいもんだろ?」
「あ、スイマセン……あの……そこは僕には分からない所なんですけど……」
「あ! ゴメン……そうだったな。 でも、母親はいい人だったんだろ?」
「あ、はい……そうだったんだと思いますよ。 ですが、物心付いた時には死んでしまっていたのか、父親に対して嫌気がさして出て行ってしまったのか分かりませんが既に母親の姿は家になかったんですよね」
その裕実の言葉に望の方は申し訳無さそうに、
「あ、マジ……ゴメン……。 やっぱり、人の過去の事について追求するもんじゃねぇんだな。 やっぱ、聞いちゃ行けない過去だってあるんだからさ」
「別に気にしないで下さい。 今の僕っていうのは、和也に見習って今を生きてる人間になってくたんでね。 過去は過去なんで、過去を振り返らず未来に向かって今を生きていくのが大事なんだって和也に教えてもらったのでね。 今の僕は未来を作る為に今を生きて行こうと思ってますよ。 まぁ、和也の場合には未来の事は本当に全然考えてないかなぁ? って思う時もありますけど」
ともだちにシェアしよう!

