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ー信頼ー54
「せやけど、やっぱ、こうも平和やと物足りない感じがするわぁ」
「まぁな……今まで忙しかった分、物足りないみたいなのがあるのかもな」
「でも、ホンマに大丈夫なんかなぁ? って思う時があるんやって……今まで平和じゃなかったから、ちょっと平和過ぎかな? ってな」
「今まで忙しかった分、今はゆっくりしろっていう意味だろ?」
「まぁ、そうなんやろうけど。 島の人達はホンマに大丈夫なんやろうか? 病気とかしてないかって心配になんねんな。 ま、確かに、俺等は他所から来たから島の住人達に受け入れられてないのかもしれへんけど、こんな暑い日に望みたく熱でも出して、外とかに出れへん人とか熱中症やのに診療所まで来れへん人とかおったらって思うとな」
「まぁ、今の季節は夏風邪とかありそうだからな。 って、今、望がそうなのか。 まぁ、それは望が治ってから島中の人達の家に行って見回ってくれるんじゃないのか?」
「ま、確かに、そうやねんけどな」
と、その時、海の方から蒼空の友達が大きな声を上げ診療所に向かい走って来る姿が見えて来る。
「雄介先生! 蒼空が! 蒼空が! 海で溺れた!!」
「……へ?」
その言葉に和也と雄介は視線を合わせ、真剣な表情になると二人は海の方に向かって走り出す。
そして更に蒼空達の友達と合流すると、蒼空が溺れている所を指差して貰い雄介は着ていた衣服を全部脱ぎ捨て海の中へと飛び込み蒼空が居る場所へと泳いで行く。
そう雄介が洋服を脱いだ理由は、洋服を着たままの状態で海に飛び込んでしまった場合、洋服は簡単に水を含んでしまうのだから重たくなってしまいなかなか泳ぐ事も出来ないからだ。 最悪その重みで自分だって沈んでしまう可能性もある。
雄介は消防士だった時代に訓練を受けていた為か直ぐに蒼空の元へと急ぐと蒼空を連れて陸へと上がって来るのだ。
蒼空は溺れていたからなのか、その時点ではまだ息はしていない。
蒼空達はいつも崖から飛び込んで遊んでいたのだから、泳ぎにも自信があるはずなのに、何故、溺れてしまったのであろうか。
雄介と和也は交互に蒼空へ人工呼吸を繰り返す。
暫く二人が人工呼吸を繰り返していると、どうやら蒼空は息を吹き返したらしく水を吹き出し荒い呼吸を繰り返していた。
そんな蒼空に雄介と和也は安堵し、
「大丈夫だったみたいで良かったわぁ」
そう更に雄介は蒼空に向かって笑顔を見せるのだ。
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