2001 / 2160
ー信頼ー55
今まで酸素が体中を巡ってなかった蒼空。 未だに意識朦朧としている中、雄介の方へと視線を向けて来る。
そして意識が回復して来た頃だろうか急に蒼空は顔を歪ませ、
「……痛っ」
「痛い!?」
その蒼空の言葉に、雄介は蒼空の体を見渡す。
すると今までは蒼空を救出するっていうだけで精一杯だったからか、雄介はある事を見落としていたらしい。
そう足にも深い傷を負っていたのだ。 足からは未だに出血しているらしく、蒼空が溺れた理由が分かったような気がする。
雄介は和也に向かってシャツを脱ぐように促すと、そのシャツでとりあえず応急処置を行い軽く止血し、今度は蒼空の事を背負い診療所の方に向かい走り出す。 それと、ほぼ同時に和也も走り出したのだが、雄介の方は蒼空を背負っているのにも関わらず和也よりも断然走るのが早かった。
「チェッ! 俺ってば走るの得意な筈だったのに、流石は雄介だよな」
と走りながら独り言を漏らし、和也も診療所の方へと向かうのだ。
そして和也が診療所に着いた頃には、雄介は海の場所から走って来たのにも関わらず息も乱さず蒼空の診察をしている姿が目に入って来る。
「とりあえず、こん位深い傷だと縫っておいた方がええのかもしれへんね。 蒼空、もうちょっとだけ痛いの我慢しててな、今すぐに治したるからな」
そう雄介が顔を上げると和也が視界へと入って来たのか、雄介は和也の側へと向かうと、
「なぁ、和也……とりあえず、蒼空なんやけど、足の骨とかは折ってなかったみたいやし、そこはな大丈夫なんやけどなぁ。 出血が酷いねんて、ちょー、輸血位はせんとまずいのかもしれへん。 せやから、俺が縫っている間に血液調べてくれへんかなぁ? そういう時の為に、この診療所には手術室とかその他色々と治療する為の道具もあんねんからなぁ」
「だけど、それは望じゃねぇと……」
「あ、そうやったなぁ。 って、望、大丈夫なんかな? とりあえず、大丈夫そうやったら、望にも手伝ってもらった方がええねんけどな」
そう二人は蒼空には聞こえないような声で相談し、和也が診察室を出ようとした直後に望が診察室へと入って来るのだ。 それに気付いた雄介は、
「望……大丈夫なんか?」
「……って、下でバタバタと音が聞こえて来たから、何かあったのかと思ったんだよ。 何で雄介が下着一枚で、この診療所にいるのか? っていうのはまとめて後から聞くから、とりあえず、雄介は服を着て来い! ここは診察室なんだからな」
「あ、スマン……。 とりあえず、俺は着替えて来るわぁ」
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