2002 / 2160
ー信頼ー57
和也は慌てて蒼空を背負ったままで帰宅して来た後から雄介の服を持って戻って来ていた。 それを雄介へと渡し雄介の方はそれを持って一旦二階へと上がる。
その間に望は蒼空へと近付き、望の方も簡単に診察すると、
「雄介はなんて言ってた?」
「骨には異常はねぇって……だけど、出血は酷いから、輸血位はなぁと縫わないとならないとは言ってたかな?」
「輸血な……。 とりあえず、この子の血液を調べる事は出来るんだけど、保存血液っていうのは無いからさ、蒼空と同じ血液型が欲しい所だな」
望の方は手際良く蒼空から血液を採取すると、それとほぼ同時に雄介が診察室へと入って来る。
「とりあえず、雄介は蒼空の足を縫っておいてくれねぇか? 俺は血液の方をやってくるからさぁ」
「ああ」
雄介は望のその言葉に返事をすると、診察室椅子へと座り黙々とではなく蒼空と会話をしながら縫い始める。
「蒼空、今度、山の方に蝉取りに連れて行ってぇな。 俺、久しぶりにそういう事してみたいねんな。 ほら、子供の頃っていうのはそういう事いっぱいしてたかもしれへんけど、大人になってからはそういう事しとらんからな……それに、都会に住んでおる時っていうのはそういう事、全く出来へんかったしな」
「蝉よりカブトムシがいい!」
「……へ? カブトムシが居るんかいな! そりゃ、蝉なんかよりもカブトムシの方がええやんぁ。 って、都会っていう所にはな、カブトムシなんておらんねんで。 寧ろ、デパートっていう所で売ってるんやからなぁ」
「えー!? カブトムシが売ってるの!? ここでなら取り放題なのにねー」
「そうなんやってー! しかし、取り放題っていうのは羨ましいねんなぁ」
雄介は蒼空に合わせて会話を続けていると、縫い終わった頃だろうか望が診察室へと戻って来る。
「とりあえず、蒼空の血液型はB型。 だから、和也が確かB型だったから和也から血液貰った方がいいのかもな」
「そうだな。 そういう事なら俺の血を使ってくれよ」
「まぁ、和也位なら大丈夫だろ。 裕実からだったらちょっと不安だけどさ。 うん……まぁ、とりあえず、和也から血を抜くのは裕実がいいか? 俺からがいいか?」
「別に俺からしてみたらどっちでもいいけどさ」
「まぁ、そこは裕実にやってもらって、俺はその間に色々とやってるからさ」
「ああ、分かった」
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