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ー信頼ー91
「そうだな。 俺がちゃんとしないと裕実の事を守って行くなんて事言えなくなっちまう所だったぜ」
「そういう事やんな……」
「ならさぁ、こういうのはどうだ? 裕実って元から女っぽい見た目してんだろ? だから、お袋には裕実の事を彼女として紹介すんのはどうだ? それなら文句無いだろうしさ」
「ああー! なるほどなぁ。 俺は和也の意見に賛成やねんけど……裕実の方はどうなん?」
「でも、それって、和也のお母様を騙すって事になりますよね?」
「ん、まぁ……そういう事になるわなぁ」
「そこは、あんまり乗る気はしませんが、和也の為っていうんだったら頑張りますよ。 ただ、フッした拍子にバレた時っていうのが怖いですよねー?」
「まぁ、そこはバレないように気を付けたらええんと違う? ただ裕実は素で居ったらええねんだろうしなぁ。 声だって特に変える必要なんか無さそうだしな、裕実の位の声の高さやったら、女の人でも声が低い人っていうのはおるんやから、そこは問題無いように思えるんやけどな。 まぁ、後は体の方は流石にどうにも出来んから見られた時やんなぁ? 和也のオカンっていうのは看護師やったっていうんやから、そういう事に関しては詳しそうな感じがしそうなんやけど?」
「あ……そこまで考えて無かったなぁ。 んー、多分、体まで見られちまった場合にはバレちまう可能性はあるよなぁ。 後は裕実の事を男だと疑って心理の方も突いて来た時にはヤバいのかもな。 そういう所、俺にだって分かるんだから、お袋だったら直ぐにバレちまうのかもなぁ」
「せやけど、和也のオカンはただ単に和也に会いに来たいっていうだけなんやろ? 後は宿に泊まるみたいやしー。 ま、そこはさ、もし、聞かれた時に答えればいいって事なんやし、もし何も聞いてこなかったら別に無理に言う必要っていうのは無いんと違うの?」
「ま、今んところはハーフアンドハーフって所かな?」
「まぁ、そういうこっちゃな。 それに和也がもしオカンに裕実の事を紹介する事になっても名前が『裕実』って女っぽい名前だしなぁ。 男でも女でもどちらにせよ違和感の無い名前だしなぁ」
「それを言ったら、『望』もなんじゃねぇ?」
今まで暗い表情を浮かべていた和也だったのだが、冗談を言えるまでに回復したようだ。 今の二人の会話で今度不機嫌になっているのは望の方だ。 そう腕を組んでまであっちの方を向いてしまっているのだから。
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