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ー信頼ー107

「まぁ、そうだね……。 子供が苦手な兄さんには、大人の方の治療をして貰った方がいいのかもしれないよねぇ」 「とりあえず、手術室の方は一つしかねぇから、重傷者を優先って事になるな。 多分、父さん達が船に残ってる訳だから、父さん達は重傷者の方を優先的に連れて来てくれると思うよ」 「うん……そこは分かってる……」 「ただ、もし、船を出してくれないとなると、どうやって、その重傷者を島まで運んでくるか? って事になるんだよな」 「一応、船には救助用のボート位は積んであるみたいだけど、ただ、船が転覆してしまっている今ではそれを使えるかどうか? って所になるのかな?」 「そういう事になるのか……」  朔望と望が話をしていると、和也が走って来て。 「どうにか、船一隻だけ出して貰えるようにしてきたぜ。 やっぱりさぁ、こんなに海が荒れてたんじゃ、船を出して貰える事は出来なかったんだけど、とりあえず、一隻だけっていう条件で出して貰えるようにしてきたからさ」 「一隻だけか……一回じゃあ、何十人の人を助けるって事は出来なさそうかな?」 「この分じゃ、後数時間位で雨も風も強くなってきそうだしね。 船一隻だけで、あそこに居る人達を助ける事が出来るのかなぁ?」 「どうだろうな……。 とりあえず、そこはその一隻を頼るしかないみてぇだな」 「そうみたいだね」  そう答えた直後に朔望は一人ボソボソと何かを唱えるように独り言をし始める。 「乗客は百人未満……船は一隻しか無くて……後数時間もしないうちに雨が降って来る。 先に重傷者を優先して運べたとしても、その一隻で船と島の往復なんてなんかい繰り返せばいいんだろ?」  朔望が独り言を漏らしていると、あの転覆してしまった船に乗っていた乗客の数名が島へと上がって来るのだ。  そして今さっきの朔望達のように息を切らせながら陸へと這い上がる姿を見て、和也と裕実というのは直ぐに体が動いていたのか、介抱しに入る。 「大丈夫ですか?」  そう二人は声を掛けながら肩や腰を支えた途端、何かに気付いたようで、 「裕実! 診療所に行って、毛布持って来ようぜ!」 「はい! 僕も今、そう思った所です。 夏と言えど、この島は比較的涼しい所ですし、この距離を泳いで来ているという事は、相当体力の方も消耗していると思いますしね」 「そういう事……」

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