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ー信頼ー111

 そう言って和也の母親は和也の事を抱き締めるのだ。 「……って、俺はもう子供じゃねぇんだから、人前で、そんな事するなって! 恥ずかしいだろうがぁ」 「いいじゃない。 私からしてみたら、貴方はまだまだ子供なんだからね」 「……そういう意味じゃねぇって」  そう和也は小さな声で突っ込みを入れる。 「とりあえずさぁ。 みんなここの島の上の方にある小学校の体育館に行ってもらってるから、そこに行ってよ。 俺と望はここで雄介達の事待ってるからさ」 「そうなの? 分かったわよ……」  やっとの事で母親から開放された和也はそこで何故だか胸を撫で下ろすのだ。 「和也、お袋さんの事、学校まで案内しなくて大丈夫なのか?」 「大丈夫だろ? それよりか、望は雄介の事を一人で待ってられるのか? この分だと雄介がいつここに帰って来るのか? っていうのは分からないんだぞ」 「まぁ、確かに、そうなんだけどさ」 「それに、そろそろ俺達の方も避難しておかないとじゃねぇのか? 雨足が強くなってきたみたいだからな」 「でも……」 「確かに雄介の事が心配なのは分かるけど、雄介が帰って来る前にお前が倒れたり、怪我とかしたら洒落になんないだろ?」 「まぁ、そうなんだけどな。 でもさ、雄介達の方が心配っていうのか……。 だって、この嵐の中、捜索活動してんだろ?」 「雄介達なら大丈夫だって! だって、捜索のプロなんだろ? そうだ! プータロウじゃなくてプロなんだからな!」 「んー、ま、確かにそうなんだけどさ。 もう、それは何年も前の話なんだろ?」  そういう話をしていると、和也の見慣れた青いスポーツカーは望達が居る場所へと来たようだ。 「あれ? 朔望どうしたんだ?」 「ん? とりあえず、和也に車を返しに来たんだけどー。 まぁ、それと、流石にそろそろ僕達も避難しないとヤバいんじゃないのかなぁ? って思ってね。 だから、兄さん達を連れに来たっていうのもあるのかな? 寧ろ、そっちの方が優先でね」 「だよなー。 朔望もそう思うよな? 俺からももう望に何回も言ってるんだけどさぁ、やっぱ、雄介の事が心配だからって、望がここからなかなか動こうとしないんだよな」 「そんな事だろうと思ったから、ある意味迎えに来たっていうのもあるかなぁ? 和也では兄さんの事を説得する事が出来なかったみたいだね」 「今の所はな」 「とりあえず、言葉で動いてくれないって時には、強行手段しかないよねぇ」 「……へ? 強行手段って?」

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