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ー信頼ー110
気付くと、時刻は十六時半を差していた。
「とりあえず、僕と裕実さんと歩夢が今度、小学校の体育館で救助された人達を見てるよ。 どうせ、兄さんはここで雄介さんが来るのを待ってるんだろ? それで、和也さんは兄さんのサポート役で残ってればいいんじゃないの?」
「確かにそれがいいのかもな。 んじゃ、とりあえず車はどうする? 俺の乗ってくか?」
「そうだね……」
そう言うと、和也は朔望に車のキーを渡すのだ。
「後、数人か……。 船が後はどれ位の人数を運んで来て転覆した船との往復も何回掛かるんだろうな? 一回? 二回? きっと、最後の船で雄介は来るんだろうな」
「そうだな。 ってかさぁ、お前、忘れてねぇ? 自分の母親もあの船に乗ってるって事をさ……」
「あー! 確かに忘れてたかも……。 今まで色々な人達を診てて夢中になり過ぎてスッカリとお袋の事忘れてたぜ。 そうなんだよな、まだ、お袋も来てなかったんだよなぁ」
「きっと、和也のお袋さんも最後の船で来るんじゃねぇのかな? 和也のお袋さんも看護師だったんだろ? きっと、ウチの父さん達と一緒に人々を助けてんじゃねぇのかなぁ?」
「多分、そうなんだろうな……。 ウチのお袋もきっと人助けっていうのは望んでやる方だかと思うしな」
そしてやっと最後の船が島へと到着すると、望のお父さんと和也のお母さんは降りて来たのだが、そこには雄介の姿は無いように思える。
「父さん、雄介は?」
「……雄介君? あ、そう言えば、雄介君のお父さんと船の回りを泳いでるよ。 まだ、捜索人がいるかもしれないからって調べているみたいだけどね」
「……へ? あ、そうだったのか……って、雄介の親父さんも!?」
そう最後の方は小さな声で言ったからなのか、どうやら周りには聴こえてなかったようだ。 そうこの船にはどうやら、雄介のお父さんまでも乗っていたという事になる。 という事は今回の船には望の知り合いが沢山乗っていたという事になるのであろう。 当初、和也の母親が今回の船で来るとは聞いていたのだが、さっき朔望や歩夢にも会った事と今は裕二と雄一郎と和也の母親と居るのだから。 その中の一人、雄介の父親である雄一郎は雄介と一緒にまだ泳いで捜索しているという事だ。
とその時、和也の母親が和也の存在に気付いたのか、近付いて来る。
「まぁ、和也……大きくなったっていうのか……歳食ったっていうのかしらねぇ」
「……って、お袋もそうだろ? とりあえず、毛布な……」
そう照れ臭そうにしながらも和也は母親へと毛布を渡す。
「ん、ありがとー!」
和也の母親はそう嬉しそうに息子の和也から毛布を受け取るのだった。
「和也……そこにいっらしゃる吉良先生に聞いたわよー。 貴方、病院では大活躍してるんですってね。 そういう点でも大きく成長したんじゃないの? もう、母さんは貴方の事が心配で心配で仕方なかったのよー。 いつか医療ミスするんじゃないかとってね。 本当、貴方は小さい頃からドジばっかしてたから。 だから、看護師になった時から実は毎日のように心配してたのよね」
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