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ー信頼ー126
和也は新人だった頃は裕実並みにドジだった記憶がある。 裕実のように薬が乗ったカートはひっくり返すわ、廊下は何回注意しても走るわ、完全に空回りしていた和也だったのだが、そんな事をしていても明るく患者さんの接する和也を見ていて望の方は色々と救われていたような気がする。 確かにそういったカートをひっくり返す等のドジはしていたものの、医療ミスに繋がるようなミスは一切無く、だから望は和也の事を見放さなかったのであろう。 きっと和也の場合、慣れれば成長すると分かっていたからなのかもしれない。 そして望の見立て通り一年もしないうちに和也は仕事に慣れ、今では望にとって仕事上のパートナーとしても親友としても幸せでいられているのだから。 時には喧嘩する事もあったけど、それはそれでいい事なんだと思う。 言い合える仲、心の中から話し合える仲。 要は喧嘩する程仲がいいとはこういう事を言うのであろう。 言い合っては喧嘩し、これでお互いの事を分かり合う事で絆みたいなのが深くなっていっているのかもしれない。
「もう、こんな時間か……」
和也は愛用の時計を見ると時刻の方は十二時を回っていた。
「とりあえずさぁ、自分達がぶっ倒れる前に、腹になんか入れて来ようぜー。 もう、流石に腹が減りすぎて死にそうだしさぁ」
「そうですね」
裕実は和也に向かって、そう答えると今度は望の方に笑顔を向け手を取りながら立ち上がり、
「望さんも行きましょう! ご飯食べ終わってから、雄介さんの事を待っても遅くはないですしね」
「え? あ、ああ……そうだな……」
裕実にそう促され望は立ち上がると、診療所の方に向かって歩き始めるのだ。
家に戻ると和也は冷蔵庫を開け、
「とりあえず、何作るかなぁ? んー、焼きそばかぁー!」
「お前さ、焼きそばもいいけど、雄介みたいに凝ったもんっていうのは作れないのかよ。 確かにお前が作ってくれるんだから嬉しいんだけどさぁ。 なんか凝ったもんっていうのは、天ぷら位しかなかったぞ」
「あー、そうだね……って事は、俺っていうのは、寧ろ簡単な物以外で作れるのは天ぷらだけって事で……」
その和也の開き直ったような言葉に望はため息を漏らす。
「本当、その点じゃ、雄介さんって凄いですよねぇ。 色んな物作って下さるんですものー」
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